全国高校弓道選抜大会で３位入賞を果たした南高弓道部の選手たち（細川教諭提供）

　【網走】南ケ丘高弓道部が、昨年12月に東京都で開かれた全国高校弓道選抜大会に北北海道代表で出場。男子団体で３位に入る健闘をみせた。出場した選手や部員は全国３位の成績を喜ぶとともに「この勢いで、今年の大会に弾みをつけたい」と意気込んでいる。

直前のインフル発症も事なきを得て

　出場したのは岩森瑛俊さん、岩佐奏汰さん、蒲生悠斗さんの選手３人と、補欠の松浦颯さん、試合で射手の補助をする介添の兒玉弘樹さんの５人で、いずれも２年生。同部顧問の細川泰男教諭が引率した。

　昨年10月、釧路市で開かれた北北海道大会で優勝し、全国の切符を手に入れた選手たちだが、全国大会直前になって岩森さんがインフルエンザを発症するというアクシデント。最悪、出場できない場合は補欠の松浦さんが出場することになるが、岩森さんの体調も回復し、大会前日にほかの選手と合流して、事なきを得たという。

　全国大会男子団体には、各都道府県の代表や前年の優勝校など、51校が出場。予選では各校が１人３本の矢を射り、的に当たった本数の上位32校が決勝に進んだ。

　この予選で、南高は７本を的に当てて決勝出場を決めたものの、６本当てた高校が10校あり、サドンデスで残った４校が決勝という展開。細川教諭は「もし、予選で１本外していたら、サドンデスの中に入っており、決勝進出も危うかった」と振り返る。

まさかの暴発も周囲がカバー

　決勝はトーナメントで行われた。初戦は、新潟県の帝京長岡高。予選では南高を上回る８本を的中させており、厳しい展開も予想されたが、結果は７―６で南高が上回り、見事２回戦進出。続く伊賀白鳳高（三重県）との２回戦も７―６で南高が上回り、ベスト８入りを決めた。

　準々決勝の対高知国際戦は、ともに６本的中で決着がつかず、互いの選手が１本ずつ矢を入る「一本競射」と呼ばれるサドンデスへ。１回目は２―２と互いに譲らず、２回目で３―１となり、準決勝進出を果たした。

　ここで対戦したのが、同大会で優勝した山形中央高。トーナメントを勝ち上がるごとに調子を上げてきた南高だったが、ここで１番目の岩森さんが４本射る矢の１本目で、射っても矢が飛ばない「暴発」となり、これで力んでしまったのか残る３本はすべて的を外す結果に。それでも、ほかの２人がしっかりとカバーし、結果は８―８で準々決勝と同じ一本競射に突入した。

　ここからの一本競射は、まさに息を飲む展開。１回目は２―２、２回目も３―３と両校一歩も譲らない展開に、引率の細川教諭や見守る選手も手に汗握る戦いが続いた。

　結果、３回目の一本競射で２―３と一歩及ばず、惜しくも決勝進出は逃した。同大会は３位決定戦がなく、報徳学園（兵庫）とともに３位となったが、インフルエンザというアクシデントや、厳しい試合を勝ち上がっての３位に、出場した選手も納得したようだ。

高体連も全国目指す

　年が明け、同部は冬休み中にもかかわらず、毎日午前中は登校して練習に励んでいる。

　インフルエンザというアクシデントに見舞われた岩森さんは「大会直前に体調が回復してよかった。初めての全国大会で緊張したけど、勝ち上がるごとに楽しくなった」と、全国大会を振り返る。

　２番目を務めた岩佐さんは、昨年の高体連に個人で全国出場しているが「今回のほうが緊張し、普段の感じを出せずにいたが、３位になってうれしい。次の高体連でも全国を目指したい」と意気込む。

　補欠で出場した松浦さんは、岩森さんの体調次第では自分が出場することになるため、大会前の練習から調子を上げるよう努めた。

　結果として出場することはなかったが、それでも「的に当たった時は『ヨシッ！』と声をかけたりと、応援に努めた」と語り、全員で勝ち取った全国３位に喜んでいる。