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十勝毎日新聞

厳冬期に初の宿泊訓練 16時間過ごした避難施設でみえたものは【広尾】

 広尾町の音調津地区で23日午後から24日朝にかけ、冬の津波被害時を想定した避難専用施設での宿泊訓練があった。記者も住民4人、町職員4人の訓練班に加わり、実際に一晩過ごしながら避難施設の使い勝手を確かめた。

避難施設で段ボールベッドの組み立て方を説明する広尾町職員

発電機や食料備え

 音調津地区は町南部の太平洋に面した住民100人弱の漁業集落。65歳以上の住民が占める高齢化率は6割を超える。「日本海溝・千島海溝沿い巨大地震」の際には最大14.4メートルの津波が想定されており、集落全体が被害を受ける恐れがある。

 町と地元町内会は2年前、集落から車で5分ほどの海抜43.6メートルの高台に避難時専用の施設を整備した。約347平方メートルの施設には、津波避難時に使えなくなることを想定して電気、水道、ガスなどの設備はない。代わりに自家発電機、ストーブ、食料、個人ごとの衣装ケースなどを配置している。今回が初めての宿泊訓練となった。

 訓練は23日午後3時半にスタート。まずは夕暮れが迫る施設で、電源の確保と暖房の準備に取りかかった。施設内に配置されている自家発電機と薪(まき)ストーブはほぼ順調に操作できたが、石油ストーブは芯に灯油がしみ込みにくく点火に手間取った。

 この日の音調津は日中から氷点下の冷え込みで、日が沈むと施設内は一気に底冷えがしてきた。参加者から「足先がじんじんしてきた」と弱音も漏れるなか、想像以上の威力を発揮したのが2台の薪ストーブ。薪を定期的に足す手間がかかるものの、換気がいらず湯も沸かせる優れもので、「暖房は薪で十分。これだけ暖かいと思わなかった」と好評だった。

不自由な水

 一方で、参加者の多くが課題として指摘したのが「段ボールベッド」の寝心地だ。数分で済む組み立ては簡単だが、付属の段ボール枕とともに体を横にした時の硬さが不評で、記者も体が痛くてなかなか寝付けなかった。

 水道がないことも、想像以上のストレスだと実感した。トイレは期限切れのペットボトルの飲料水で流すのが面倒で使用せず、歯磨き時は自前のペットボトルのお茶で口をすすいだ。防災食の進化のおかげか、夕食のカレーや朝食の缶詰パンがおいしかったのが救いだった。

 16時間に及んだ訓練後、地元自主防災会の上野雅彦会長(72)は「あまり使いたくない施設だが、緊急の時は今回体験したことをふまえて地区の人を助けたい。建物はしっかりしていると確認できた。町に感謝している」と話した。広尾町の山岸直宏企画課長(58)も「実際に体験してみて分かったことが数多くあった。今後の防災行政に生かしたい」と振り返った。

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