会友賞を受賞した「２０２３秋」（Ｆ１３０号）

　室蘭市民美術館館長の佐藤宏茂さん（６６）＝室蘭市港北町＝が、道内最大規模の美術公募展「第９７回道展」（北海道美術協会主催）の油彩部門で会友賞に輝いた。新会友に推挙されてから８年目での受賞。「このために努力を続けてきた。念願がかなってうれしい」と喜びをかみしめる。

　室蘭市出身。室蘭栄高の美術部で本格的に絵を学び、道教大函館校に進学。卒業後は室蘭、苫小牧、豊浦の中学校で美術教諭として勤務した。定年退職後は市内桜蘭中、室蘭西中で講師を務めた。２０１５年に道展新会友。２２年から同美術館館長。

　佐藤さんは室蘭の風景を描き続け、「毎日見慣れている風景でも日々変化がある」と魅力を語る。今回の受賞作「２０２３秋」（Ｆ１３０号）は、港北町の梅の台の高台から見下ろした家々や色づき始めた山並みを描き、遠くには室蘭岳を望んでいる。

　制作期間は昨年１２月から１０カ月間。写真で記録していた風景を組み合わせ、「見た人の視線をとどめておける構図」を考えた。途中「何がいいか分からなくなった」と悩んだ時もあったが、木々や家々の色を塗り替えて奥行きを表現するなど、納得がいくまで調整を繰り返した。「神経がすり減るくらい費やしました」

　次の目標は来年度、新会員に推挙されること。「どうやったら自分の実力を出せるのか。気張り過ぎないよう自然体で、期待を裏切らない絵を描いていきたい」と意欲を燃やしている。

　道展は１１月５日まで、札幌市中央区の札幌市民ギャラリーで開かれている。入場料は一般が８００円、大学生が５００円。高校生以下は無料。

佐藤宏茂さん