果敢の波に立ち向かうみこし渡御

【えりも】町内えりも岬地区の襟裳神社秋季例大祭が22日に宵宮祭、23日に本祭りが行われ、祭りのハイライト「みこしの海中渡御」では、海に生きる男の心意気を誇示した。

　本祭りのみこし巡行は、かつて襟裳神社が江戸時代後期（１８１４年）に創建された襟裳岬突端で、町郷土芸能「襟裳神楽」の舞いを奉納して岬駐車場を経由し、市街随所で航海の安全と豊漁を祈願。

　えりも漁港近くの広場では、襟裳神楽と岬母会の「共済音頭」や、小町会（川﨑尚子代表）が「マリンちゃん」などを軽快なリズムで舞い、祭りに彩りを添えた。

　午後からは、25人の若者に担がれたみこしが襟裳神社伝統の海中渡御へ。この日は快晴でほど良い波が押し寄せる渚に向かい、コンブ小屋が建ち並ぶ百人浜に近い大下地区まで６回にわたって、寄せては返す白波に果敢に立ち向かい、和太鼓と勇ましい掛け声が波間に反響した。

　渚沿いでは、来年にクランクインが予定されているえりも岬の緑化事業を題材にした映画「北の流氷（仮題）」の制作を進める田中光敏監督が、カメラマンに指示しながらみこし海中渡御のシーンを撮影。田中監督は「今回は襟裳岬突端での神楽の舞いと海中渡御の２カットを撮った。緑化事業の成功が地域の文化と生活を元気にしたシーンに使って地元を盛り上げたい」と話した。

　帯広市から夫婦で襟裳岬観光を兼ねて海中渡御見物に来た新保淳さん（65）は「４年ぶりに勇壮な海中渡御を見物できて元気をもらいました」と話しながらビデオ撮影に熱中していた。