【根室】元島民や後継者が日ロ中間ライン付近の海上から先祖を供養する「洋上慰霊」が２１日、根室港発着で行われた。チャーター船「えとぴりか」（１１２４㌧）には元島民や後継者ら４５人、同行者１９人の計６４人が乗船した。

　洋上慰霊ポイントは国後島ハッチャス崎と標津沖のほぼ中間点で、島側に向けられた祭壇に手を合わせた。今回は国後コースの２回目、通算５回目。今季の洋上慰霊で初めて島影を見ながらの慰霊式が実現した。

　午後３時すぎに帰港した一行は口々に「島が見えて最高だった」と述べていた。この日は曇り空ながら同島の泊山、ラウス山が見え、最高峰の爺爺岳もうっすら見えたという。

　同島出身の古林貞夫さん（８４）は「島が見られた。島に向かって手を合わせることができて満足」と笑顔を見せたものの、「上陸して手を合わせるのが本来。国は（ロシアに）制裁ばかりでなく、人道的見地から墓参実現に力強く掛け合ってほしい」と注文を付けた。

　洋上慰霊は３０日に行う通算６回目で最後となる。

「島が見えた」と帰港した国後コース２回目参加者