【札幌】ロシアのウクライナ侵攻から１年半が経過し、北方領土返還問題も厳しい状況を迎える中、「今こそ北方領土返還を訴え、世論を喚起しよう」と市内で２５日、２０２３北方領土返還要求北海道・東北国民大会が開かれた。これに合わせて返還運動の担い手を育成する根室振興局の北方領土プロジェクト「高校生Ｎサミット」のメンバー４人が市内で署名活動を行ったほか、大会前には３０度を超す暑さの中で街頭行進にも参加し、市民や観光客に領土問題を強くアピールした。

　根室管内の高校生が夏に派遣されるのは初めて。参加したのは根室高校１年の類瀬智人さん、羅臼高校２年の桜谷匠太朗さん、中標津高校１年の須崎ななみさん、中標津農業高校２年の佐藤天さんの４人。

　メンバーは前日札幌入りし、２５日は午前１０時からＪＲ札幌駅前で、札幌の高校生と一緒に汗だくになりながら署名活動。猛暑とあって地下から駅に向う人も多く、通行する人はまばらな上、立ち止まるのを避けて足早に過ぎていく人も多く「地元と違って関心の薄い人も多い」ことを実感。一方で「短時間で２４人が署名してくれた」と手応えも。

　街頭行進前には、改築中の赤れんが庁舎前広場で鈴木直道知事と記念撮影も実施。さらに行進に先立ち、１５０人の参加者の前で全メンバーが紹介されるなど、忘れられない記念となった。

　大会には千島歯舞諸島居住者連盟の会員や関係者ら約３５０人が参加。「生存される方も高齢となる中、これ以上領土問題解決に歳月を費やすことは許されない。政府の交渉を後押しし粘り強く返還運動に取り組み、さらなる世論の喚起を図る」との大会宣言と、「返還への国内世論結集と国際世論喚起促進、北方領土周辺水域の安全操業確保」などを求める大会決議を行った。

街頭行進を前に鈴木知事から紹介を受ける類瀬さん、須崎さん、桜谷さん、佐藤さんと札幌の高校生（左から