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釧路新聞

高鮮度マイワシ消費地へ 釧路水試が研究、漁獲後零下1・3度で流通【釧路市】

棒受け網船が道東沖で漁獲した脂が乗ったマイワシ

 釧路水産試験場は、水揚げ量が急増している道東産マイワシの消費拡大に向けた流通モデルを明らかにし、漁獲後の船内で適切な氷量で魚を保管し、消費地まで零下1・3度付近の低温流通を行うことで高鮮度を保てるとした。船に必要な氷量を推定するモデル式も確立し、漁協などを通じて漁業者に提案していく。

 2022年の釧路管内のマイワシ水揚げ量は、巻き網漁業と棒受け網漁業を合わせて約13万7000㌧で、釧路管内で漁獲された魚の7割を占める。道東沖のマイワシは、餌を求めて回遊中のため他の海域の個体に比べ脂肪量が多い。しかし、マイワシは鮮度や品質低下が早いことから食用利用が進まず、水揚げした魚の大半が単価の安いミール(飼料や肥料)に加工されているのが現状。そこで釧路水試は、マイワシを東京や大阪など大消費地まで高鮮度のまま流通させる研究を、20年度から3カ年かけて行った。研究の対象は地元漁業者支援の観点から中小型船による棒受け網漁業とした。

 研究ではまず、東京(豊洲)と大阪の消費地市場で他産地のマイワシの鮮度(K値)を調査。その結果、高鮮度のマイワシはK値が10%以下であることが判明し、これを達成するための流通条件を検討した。

 始めに検討したのが、漁獲してから港へ水揚げするまでの漁船における管理状況。魚を保管する船倉を調べたところ、一部の漁船で水温が高いなど適切に冷却されていない事例があることが分かった。そこで、漁獲量に応じて必要な氷量を簡単に推定できるモデル式「冷熱量試算」を作成した。これにより経験や勘に頼らず、事前に必要最小限の量の氷が用意できることを可能とした。

 さらに、水揚げ港から消費地までの保管条件を探るため、豊洲市場へ魚を送る実証試験を昨年6月と11月に実施。塩分を含むシャーベット氷で冷却した箱詰めの魚を陸路と貨物船で輸送したところ、マイワシが凍結を始める零下1・3度で流通させると、3日後もK値10%以下を維持できることが分かった。

 また鮮度の指標は、高価な分析機器が必要なK値に代わり、安価な温度記録装置で測れる「有効積算温度(EAT)」を活用できることも明らかにした。

 釧路水産試験場加工利用部の佐藤暁之研究主幹は「北海道のマイワシのブランド力が上がり、食用利用が増えるようバックアップしたい」と話している。

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