ふるさと納税の返礼品になった二風谷のアイヌ工芸品「二風谷イタ」（左）と「二風谷アットゥシレリーフ」や「アイヌ文様入りタンブラー・マグボトル」（手前）

【平取】町は、ふるさと納税の返礼品として、10日から町内のアイヌ工芸家の木彫作品をはじめとしたアイヌ工芸品の提供を開始した。

　アイヌ工芸の「匠」たちが製作したこだわりの逸品を限定品として提供するほか、伝統的工芸品である「二風谷イタ」や「二風谷アットゥシ」など二風谷アイヌ工芸品を多数取り扱う予定。

　第１弾は「ふるさとチョイス」限定で、Ｇ７（環境大臣会合）札幌（４月15、16日）で各国大臣に贈られた「二風谷イタ」と「二風谷アットゥシのレリーフ」を提供する。

　町内二風谷にはアイヌ文化が色濃く残っていて、そのアイヌ伝統文化の灯を絶やさぬよう地域一体となって活動している。アイヌ工芸においても伝統技術は受け継がれており、２０１３年（平成25年）に経済産業省の伝統的工芸品に北海道で唯一指定されている「二風谷イタ」（木製の盆）と「二風谷アットゥシ」（樹皮の反物）からもわかる。

　「二風谷イタ」はカツラを材料とした直径24㌢の丸い板にラムラムノカ（うろこ）やアイウシ（とげ）などアイヌ文様が彫られている。「二風谷アットゥシ」は広葉樹のオヒョウの樹皮を原料とした糸で織られた反物。木枠にＡ４サイズの織物がはめ込まれ、直接感触を楽しめる作りになっている。織物の中央には、10㌢四方の布にモレウ（渦巻き）やシクノカ（目の形）といったアイヌ文様が刺繍されている。

　同工芸品は、この土地ならではの文様が施されるなど二風谷の特徴が見られ、国内はもとより海外からも高い評価を得ている。町では若手工芸作家を中心に現代の生活様式に会った安定的に供給できるような価格が抑えられたアイヌ工芸品づくりにもチャレンジしている。

　今回、ふるさと納税で「びらとり」の名前を広く全国にアピールするとともに、平取町が誇るアイヌ工芸の「匠」の作品に加え、より生活に根ざした多くの工芸品を返礼品として取り扱うことから、アイヌ工芸作家の活躍の機会を一層広げることに貢献していく。

　第１弾となる今回は、①二風谷民芸組合代表理事の貝澤守氏・貝澤徹氏・高野繁廣氏の「二風谷イタ」②「二風谷アットゥシレリーフ」（貝澤雪子・関根真紀共作）③「マキリ」（アイヌ工芸作家が作る小刀）限定１④「マキリ」（金塊を探す漫画のキャラクターが持つモデル製作者が作る小刀）限定１⑤匠が作る「イタ」（子持ち盆）限定１⑥美しい刺繍が入ったアイヌ伝統の鉢巻き「マタンプシ」⑦工芸家こだわりの逸品「高級アットゥシ名刺入れ」⑧「印伝財布入れ」（アイヌ×甲州印伝）⑨「アイヌ手拭い」⑩「アイヌ暖簾」⑪「アイヌ文様入りオリジナルマグボトル」⑫「同オリジナルタンブラー」などの作品の取り扱いを予定。

　なお、二風谷イタの木彫品やアイヌ刺繍などについては、工芸家が一品一品手作業で製作し、デザインもそれぞれ異なることから「ふるさとチョイス」での申し込みに限定し、一品ずつ返礼品として取り扱う。

　観光商工課の岩本大河係長は「平取町には一流のアイヌ工芸家がいる。返礼品を通して、来町して工芸品や文化にも興味を持っていただき、いろいろな体験をしてくださることを期待している」と話した。

　問い合わせは、平取町役場観光商工課（☎０１４５７・３・７７０３）へ。