日本列島の東側に高気圧が張り出し、暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、十勝地方は２７日も気温が上昇。池田では同日午後０時２９分に３５．１度を観測し３日連続の「猛暑日」に。管内１７地点で気温が３０度以上の「真夏日」となった。帯広の予想最高気温は３６度で、２０１７年７月１６日以来、３日連続「猛暑日」となる予想。環境省と気象庁は２６日夕、管内初の「熱中症警戒アラート」を発表。涼しい環境で過ごすように呼び掛けている。

酷暑の中で水分を補給する作業員

　帯広測候所によると、帯広では同日午前８時時点で３０．３度を観測。正午までの最高気温は本別３４．８度、帯広３４．２度、浦幌３４．２度、池田３４．１度、足寄３４．０度まで上昇した。

　２６日は、池田や帯広などの５地点で３５度以上の「猛暑日」となり、１６地点では今年の最高気温を観測。池田の３６．２度は道内で最も高く、足寄３５．６度、本別と帯広３５．４度、更別３５．０度を観測した。

　とかち広域消防局によると、２７日は乳幼児と８０～９０代の女性計４人が、２６日は２０～９０代の男女１３人が熱中症とみられる症状で医療機関に運ばれた。自宅にいた人や屋外で発症した人などで、いずれも中等症や軽症で命には別条はない。

　音更町教育委員会などは２７日、木野東小学校室内プールについて、同日午後と２８日午後の使用中止を決めた。室内が高温になるためで「熱中症警戒アラート」発表を受けた対応。

　帯広市内のビル工事現場では、作業員が塩分や水分を小まめに補給しながら美装などを実施。クリーンプロ（釧路）の小泉昭史さん（５６）は「ネッククーラーは助かるが、２時間で溶ける」と苦笑い。２個常備し、休憩時間は車の冷房で涼んでいた。

　帯広測候所によると、２８日の帯広の予想最高気温は３５度。４日連続の「猛暑日」が見込まれている。

「外出避けエアコン利用を」測候所

　環境省と気象庁が、熱中症の危険性が極めて高い気象状況が予測される地域を発表する「熱中症警戒アラート」。２０２１年４月に運用が始まったが、十勝管内が対象となったのは初。帯広測候所でも「特に実施していただきたいこと」として、「外出はなるべく避け、室内をエアコンなどで涼しい環境にして過ごして」などと呼び掛けている。

　熱中症警戒アラートの発表の基準となるのが「暑さ指数（ＷＢＧＴ＝湿球黒球温度）」。気温が１、湿度が７、放射熱（日差しを浴びた時の熱や、地面・建物などから出る熱）を２の割合で計算。前日の夕方か当日早朝の予測値から、「暑さ指数が３３以上」と見込まれる都道府県（道内は８地域別）に発令している。

　帯広測候所によると、２６日午後５時の「第１号」で池田の「暑さ指数」が３３に達したことを受けて発表。２７日午前５時の「第２号」でも、池田・浦幌・広尾が３２、本別・音更町駒場・更別で３１と、６観測地点で「危険」の３１を超えた。帯広は２９。ぬかびら源泉郷を除く観測地点で「厳重警戒」となっている。

　熱中症搬送者の半数以上は６５歳以上の高齢者。帯広測候所では「身近な高齢者に対して、昼夜問わずエアコンなどを使用するように声掛けを」と強調。

　また、高齢者に加え、子どもや持病がある人、肥満の人、障害者などが「熱中症弱者」となるため、「小まめな休憩や、喉が渇く前から、より積極的に時間を決めた水分補給（１日１．２リットルが目安）を」などと訴える。