救急救命法訓練の実演を行う浦河赤十字看護専門学校の学生

　浦河高校（齊藤雄大校長）は21日、総合避難訓練「１日防災学校」を実施した。全校生徒２８０人が学校、家庭、地域など関係機関が連携した安全対策について理解を深めながら、災害発生時などの有事への備えと意識高揚を図った。

　全ての学校において、保護者や地域住民、関係機関との連携協働による安全対策の体制を構築し、それぞれの責任と役割を分担しながら学校安全に取り組むことを必要とする国の第２次学校安全の推進に関する計画に基づいて、児童生徒が安全に関する資質・能力を教科等横断的な視点で確実にはぐくみ、系統的・体系的な防災教育の推進に向け、地域のコミュニティーの核となる学校が家庭や地域と連携して実施するもの。

　同校では、毎年、さまざまな視点での防災教育に取り組んでいる。今年は、浦河消防署、浦河警察署、浦河海上保安署、浦河赤十字看護専門学校などの協力を得て、火災を想定した避難訓練や避難袋での脱出訓練、救命救急、災害発生時における防犯や海洋に関する防災について講座や実技などで学んだほか、同校生徒13人の防災マスターが運営する「防災運動会」で楽しみながら防災について理解を深めた。

　このうち、近隣の浦河赤十字看護専門学校と連携した救急救命法訓練の実演では、１～３年生３０人の学生が、救急救護や災害看護の授業で学んだ知識や技術を活用し、巨大地震が発生した被災地を想定した災害救護活動を披露。浦河高校で傷病者が発生したとするシナリオをもとに、救護員服に身を包んだ看護学生たちが、手際よく傷病者の手当や救護処置を行ったほか、高校生数名も参加し、傷病者を担架で運ぶなどの災害救護を体験した。

　引き続き、浦河警察署の警察官による災害発生時における防犯・護身術についての訓練が行われた。災害が発生すると、多くの人が避難所での生活となり、その間、被災地の街では留守宅を狙った盗難などの犯罪が多発するという。訓練では、避難所に不審者が侵入してきた場面を想定し、さすまたを使った対処方法や護身術などを警察官が実演しながら、高校生にわかりやすく解説。災害発生時の不安に乗じた犯罪への注意も呼び掛けた。

　また、この日は、同校の地域防災マスター13人が企画運営する防災運動会も実施。クラス対抗で防災に関するクイズや防災ジェスチャーゲーム、毛布を担架として傷病者を運ぶ毛布担架競争などを行い、楽しみながら災害発生時に必要なスキルを身に着けた。

　地域防災マスターとして１日防災学校の運営に参加した３年生の淡路琶綺（はづき）さんは「地域の防災について高校生が一丸となって考えるきっかけとなればと思い企画した。防災について身に付いていないことも、みんなと一緒に取り組むことで知識が深まれば」と話していた。