病気に屈せず絵筆握る きょうから吾孫子さん個展【釧路市】
釧路市文化賞受賞者(2021年)で道美術協会会員の吾(あ)孫(び)子(こ)雄(ゆう)子(こ)さん=1987年度釧新郷土芸術賞受賞者=の個展が25~30日まで、釧路市南大通3の南大通ギャラリーで開かれている。運動障害を示す進行性の疾患とされるパーキンソン病に立ち向かいながら、絵筆を握り続けた新作をはじめ36点を展示。80歳を迎えた記念に5年ぶりに開いた個展は、まさに創作意欲に満ちあふれた作品が並ぶ。
個展の会場入り口でまず来場者を出迎える作品が2019年新制作展に出品したF120号の大作「風の予感(黄)」。吾孫子さんがこれまで取り組んできた風を題材にした油絵作品だ。さらに会場には「窓辺」「花」などをモチーフにした抽象画作品が並ぶ。そして会場内でひときわ注目される大作が「2020刻(とき)」だ。
吾孫子さんは1978年に道展初入選して以来、女流画家協会展入選や新制作展の入選。札幌を中心に個展を開催するなど意欲的に創作活動を続け、2006年に道展会友、12年に道展会員、19年に新制作協会協友に推挙されるなど高く評価されてきた。その一方で難病と闘う日々も重ねてきた。今追い求めているテーマは「刻」。刻み続ける時間を題材にしている。
吾孫子さんは「パーキンソン病で体もよく動かず、薬のせいなのか、突如として筋肉が動いてしまう時があって細かい描写ができない」と語る。それでも「絵が好きだからこれまでやってこられた。細かい描写はできなくても頑張っていきたい。そのことが同じ病気に悩む人たちを力付けることになるのなら…」とも話す。今回の個展を前にしても絵筆を止めることはなかった吾孫子さんは「ちょっと頑張りすぎて疲れてしまいました」と笑顔で語り、展示作業を引き受けてくれた仲間やファンたちに感謝の言葉を贈った。
同個展は30日まで開催中。時間は午前11時から午後5時(最終日は午後4時)まで。詳しくは南大通ギャラリー0154(42)6639へ。
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