建設業務2100時間削減 ITコンサル武田さん【幕別】
建設現場での働き方改革を進めようと、幕別町の武田祐樹さん(41)が、身近なITツールを使った業務効率化の試験運用で、2100時間の業務削減を達成した。「高価なツールは導入ハードルが高いが、身近で安価なツールでも業務効率化ができる。働き方改革が求められる中、建設業は楽しいと思ってもらえる業界にしていきたい」と意気込んでいる。
室蘭工業大学卒業後、川田工業(帯広)に就職した武田さんは、人手不足で多忙な建設現場の業務効率化を進めようと、さまざまな仕組みを考案してきた。自ら考えた業務効率化にチャレンジしようと、一級建築士の資格を取り、2020年に建設業に関するITコンサルタントとして独立。昨年、川田工業から大樹町の認定こども園の建設工事(工期10カ月)を手伝ってほしいと依頼があり、技術協力という形でITツールを活用した業務効率化に取り組んだ。
今回、試験導入したのは「新規入場者教育の自動化」「安全書類のクラウド化」「オンライン事務員の採用」「現場監督の半リモート化」「無線アプリ・端末の活用」など11項目。例えば、一日に何度も行う新規入場者教育は、最初に撮影した動画を再生し、職員対応の時間を削減。現場監督などが処理する書類などの事務作業は、オンライン事務員(在宅ワーク)として新潟県在住の子育て中の女性を採用し、空き時間を使ってクラウドに保存された書類整理や動画再生などを任せた。また、ミニスマートフォンを導入し、無線アプリと動画アプリを使って、自宅にいる武田さんが現場の技術者たちに、遠隔指示できるようにした。
11項目の仕組みの導入にかかる費用は約237万円で、人件費と削減時間から割り出した削減効果は経費で約541万円、時間は2117時間となった。
試験運用を通し、武田さんは「ITが苦手な人には余計な説明をせず、見せることで理解してもらえた。最低限の初期投資は必要だが、まずはやってみようと一歩踏み出してもらうことが大事」と話す。人材確保や働き方改革など、業界を取り巻く課題は山積する。「できそうなところにチャレンジし、一歩踏み出したときに楽しいと思ってもらえるような仕組みを提案していきたい」と話している。
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