総事業費145億円 26年度暫定供用開始へ 東港岸壁整備事業概要まとめる
国土交通省は23日までに、苫小牧港・東港周文埠頭(ふとう)1号岸壁整備事業の概要をまとめた。今月上旬、新規事業採択時における事業評価部会で、委員から適当との意見が出された。政府の2022年度予算成立を受け、財務省と協議の上、月内に事業採択を公表する見通し。
国交省によると、事業名は「苫小牧港東港区浜厚真地区複合一貫輸送ターミナル整備事業」。4日に同省で開かれた交通政策審議会港湾分科会の事業評価部会で、港湾整備事業と海岸事業の4事業が22年度予算で新規採択された場合の評価として、学識経験者などで構成する委員からは「適当である」との意見が出た。
同省によると、事業は、岸壁(水深9メートル、長さ270メートル、耐震)、泊地(水深9メートル、1・4ヘクタール)、港湾施設用地(2・3ヘクタール)、埠頭用地(1・9ヘクタール)を整備する。期間は22年度から27年度まで、総事業費は145億円。26年度から暫定供用を開始する予定。
事業の効果として、(1)道内の農水産業の振興、農水産品の安定的な国内供給(2)地域産業の振興(3)トラックドライバー不足などへの対応(4)災害時における社会・経済活動の維持、地域の安全・安心の確保(5)排出ガスの削減―を挙げる。
資料によると、周文埠頭では道内各地から集まった関東向けの農水産品を1号岸壁に隣接する2号岸壁からフェリーで移出しているが、トラックがフェリーの出港時刻に間に合わない場合、函館港まで移動しているのが現状。今後、働き方改革によりトラックドライバーの残業規制が厳しくなり、長距離の陸上輸送が困難になることから、出港時刻の柔軟な設定が求められている。
また、現在は一つの岸壁でフェリー2航路を運用しているため、先発便が遅延した場合、後発便にも遅延が発生する。18年9月の胆振東部地震発生後は、緊急物資を輸送する耐震強化岸壁の不足で物資輸送船が沖合で待機することもあった。新岸壁が整備されれば、これらの課題解決とともに港湾の機能強化が期待される。
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