巨大地震「冬の避難、時間切迫」 北大研究者が警鐘
北海道大学地震火山研究観測センターと、自然災害研究協議会北海道地区部会共催の「2021年度シンポジウム『巨大地震と津波~千島海溝沿いの巨大地震に備える』」が21日、オンラインで開かれた。専門家が、マグニチュード8.8以上の巨大地震に備える必要性などを改めて呼び掛けた。
同センターの高橋浩晃教授は「千島海溝沿いの巨大地震津波災害軽減に向けた総合研究」について解説。東日本大震災クラスの地震発生も懸念される千島海溝沿いの巨大地震で、冬季は避難準備までの時間がかかるとし、「(津波到達までに避難する)時間が足りない地域が相当出てくる」と警鐘を鳴らした。
また、地震津波対策として、「人的被害を最小限にするための避難計画を、定量的なデータでプランニングして検証すること」「人を守りながら、間接的な被害もトータルに検討すること」の必要性も指摘した。
同センターの西村裕一准教授は「地層から知る千島海溝沿いの巨大地震津波の履歴」について解説。津波堆積物を分析すると、十勝地方や根室地方に巨大津波が来た年代は17世紀半ばとし、「350~500年間隔で起きていたのは確か。規模が大きなもので想定するのは間違いない」と改めて指摘した。
このほか、北大大学院工学研究院の高井伸雄准教授が「千島海溝沿いの巨大地震による強震動災害」、北大大学院文学研究院の橋本雄一教授は「千島海溝沿い巨大地震による津波避難を科学する」をテーマに解説した。
新型コロナウイルス感染防止対策のためズームやユーチューブを用いて開かれ、約170人が耳を傾けた。
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