聴覚障害者の学生、バイト不採用に 函館市選管 差別解消法「配慮」に不十分 指摘の声【函館】
10月に行われた衆院選時に、函館市選挙管理委員会が募集した学生対象の投開票事務アルバイトで、聴覚に障害がある大学生(18)が採用を断られていたことが関係者への取材で分かった。学生は応募時に筆談などでの対応を求めたのに対し、市選管は「(業務中は)希望に添えない」と不採用を通知。ただ、検討過程で学生との対話がなく、障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」を十分に検討したとは言い切れない状況が残る。学生の父親(52)は近く市選管に対し、是正を求める意見書を提出する。
学生は有権者となって初めての選挙を控えて政治に関心を持ち、市選管に履歴書を送付。聴覚障害があることを明記し、会話や指示がある場合は筆談、指差しでの対応とメールでの連絡を求めた。市選管は10月5日付のメールで「選挙事務は投票に来られた方への説明を要する場面が多い」などとして不採用を通知した。併せて市選管は投票立会人であれば筆談などの対応が可能と提案し、学生も立会人を希望する意思を返したが、市選管側からの返信が遅れ今回の衆院選には登録が間に合わなかった。
一連の対応を疑問視した父親は同27日に市選管にメールで検討経過を照会。同29日付の父親への返信内容によれば、協議経過の記録は残していないとし、不採用理由として、投票事務は来場者へのあいさつなどの声掛けや会話でのやりとりが多く「相手の発言を理解しなければならない場面がある」などとし、職員のフォローも難しいと判断。開票事務は場内アナウンスでの指示が多く、筆談対応が困難であるとした。
市選管によると、若年層を中心に募集する選挙関連の業務で障害者の応募は今回が初めて。山崎貴史選挙課長は不採用は同課職員7人全員で協議した結果とし「障害を理由に断ったのではない」と話す。一方、立会人登録機会の逸失は市選管側の返信の遅れに伴うミスだったと認めている。
学生は日常生活では口話でのコミュニケーションを主体とし、周囲の動きを見ながら行動することに慣れている。父親によると、衆院選で訪れた投票所の様子に「あれなら自分にもできる」と話していたという。
障害者差別解消法では、障害者の不当な差別的扱いを禁止し、行政機関には合理的配慮を提供する法的義務がある。画一的な聴覚障害者像に当てはめ、市選管は業務上の「できない」場面を想定したに過ぎず、学生の障害の程度を把握し、相互の歩み寄りによって業務上の障壁を取り除くために必要な対話の機会を設けなかった。市選管は今後、障害を持つ人の応募があった場合は対応を含めて検討するとしている。
父親は弁護士と相談し、関係団体の賛同を得て市選管に意見書を提出する準備を進めている。父親は「市選管に謝罪を求めるものではないが、聴覚障がいに対する理解があまりにも足りない対応だった。障がいへの理解を深め、今後の対応を改める努力をしていただきたいと強く願っている」としている。
関連記事
アイヌ文化の魅力発信 「アートウィーク」開幕【釧路市】
釧路市阿寒湖のアイヌ文化から着想を得たさまざまなジャンルの芸術作品を、阿寒湖温泉街を巡りながら鑑賞する「阿寒アイヌアートウィーク2024」(釧路市主催)が、23日から始まった。阿寒湖アイヌコタ...
防災士目指し研修 養成講座、小学3年も挑戦【根室】
【根室】市防災士養成研修講座が、市総合文化会館を会場に23、24日の日程で始まった。札幌市以外での講座は、今年6月の釧路市に次ぐ道内2例目となる。参加者は小学3年生~78歳代までの91人で、う...
ポイ捨てゼロ願う ごみ拾い“袋文字” SNSで発信「皆さん考えて」【帯広】
帯広市西9南1の加藤芳規さん(82)は8年前から毎日、近所のごみ拾いを続け、ごみ拾いSNS「ピリカ」に、2週間分のごみを集めた袋で作る文字アートの写真を投稿している。これまで「ポ・イ・ス・テ」な...
マチルダ 袋いっぱい 大感謝祭【芽室】
芽室町内の農商工などが連携して町をPRするイベント「めむろ大感謝祭2024」(実行委主催)が23日、JAめむろで開かれた。大勢の家族連れらが訪れ、芽室の味覚を味わっていた。 「芽室に感謝す...
災害対応 海と空から 負傷者、物資の輸送訓練【広尾】
広尾署と広尾海保などは21日、広尾町内の沿岸部で、災害発生時の負傷者や救援物資の海上輸送を想定した合同訓練を実施した。巡視船「とかち」や道警の災害ドローンが出動、緊急時の連携対応を確認した。 ...
CATEGORY記事カテゴリー
MEDIA参加新聞社
ARCHIVE月別記事リスト
RANKINGアクセスランキング
- 週間アクセス
- 月間アクセス
-
1
函館市動物愛護管理センター開所 25日から運用 殺処分減へ【函館】
2道東道阿寒─釧路西 12月22日開通 札幌─釧路市街地直結【釧路市】
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4トラウトサーモン安定的生産に期待込め 浦河港内で養殖試験 浦河町栽培漁業研究会 事業化に向け可能性探る【浦河】
5帯広畜大「ゼニ研」に前田一歩園賞 ゼニガタアザラシの個体数調査継続【札幌】
-
1
高校で卒業式、1623人が門出の日【釧路管内】
2タイ国鉄車両工場長 シンハカーンさん キハ183系を見学 安平
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4釧路市動物園、ライオンのユウキ死ぬ【釧路】
5旧狩勝牧場再生へCF 返礼はソフト食べ放題やツアー 北広牧場【新得】