後輩から胴上げで祝福される卒業生

　【網走】東農大生物産業学部と、大学院生物産業学研究科の学位記授与式が、同大オホーツクキャンパスで行われた。生物産業学部は北方圏農学と海洋水産、食品香粧、自然資源経営の４学科３０８人、大学院博士前期課程21人の計３２９人が、学位記を受けた。

　式では江口文陽学長が大学院前期の21人、各学科の代表４人に卒業証明の学位記を授与。成績優秀特別賞の伊藤和穂さん（北方圏農学）ら４人のほか、卒論の優秀賞や大日本農会賞など、合わせて12人を表彰した。

　また、網走に密着した研究や政策、地域活性化につながる卒業論文を書いた４人に網走市長賞、野球部で活躍した石澤大和さん（自然資源経営）に同学部協力会オホーツク賞が贈られた。

　江口学長は告辞の冒頭、能登半島地震で亡くなった人や被災した人に対し、また学部の卒業生や在学生、保護者にも被災した人がいるとして、見舞いの言葉を述べた。

　卒業生に向けては、コロナ禍の中で入学し、勉学や課外活動がままならない中、４年間頑張って卒業を迎えたことを「皆さんは大きな壁を乗り越え、本当にたくましく成長してくれた」とたたえた。

　また、ホタテの稚貝放流をはじめとする漁業、また収穫の手伝いなど漁業の現場でアルバイトに励んだ学生も多く「キャンパスで学んだだけでなく、網走の皆さんに育てられたといっても過言ではない」と述べ、網走での経験が成長の大きな力となっていることを忘れないよう求めた。

　その上で「オホーツクキャンパスで学んだことを生かし、世界で活躍する大きな人間になってほしい」と、卒業生のさらなる飛躍に期待する言葉を述べた。

　学校法人東京農業大学を代表して、上岡美保理事は横井時敬初代学長の言葉で、同大の理念でもある「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」を引き合いに「これからの農林水産業を、あらゆる立場から支えるリーダーとして活躍を」と、はなむけの言葉を送った。

　これらの祝福に、卒業生を代表して中村賢太さん（海洋水産）は、コロナ禍でも得た経験や出会いはかけがえのないものとして「この４年間は充実した大学生活を送ることができました。時にはつらく、悲しいこともあるでしょう。しかし、この４年間で得たことを胸に、乗り越えていきます」と答辞を述べた。

　式を終え、退場する卒業生を待ち構えていたのは部活動やゼミの後輩たち。卒業していく先輩と握手を交わしたり、花束を贈るなどして祝福した。

　中でもアメリカンフットボール部は、ユニホーム姿の後輩たちが待ち構え、卒業する先輩の姿を見つけると有無を言わせず胴上げ。数回、宙に舞った後、すぐ横の雪山に放り投げるとう同部伝統の手荒な祝福。周囲で見ていた卒業生や保護者からも、卒業生が宙を舞うたびに拍手と歓声が上がっていた。