建設DX 日高から東京へ情報発信 幌村建設の日高道建設現場で 東京都職員がオンライン視察【新ひだか】
【新ひだか】ITの普及とともに、建設業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進められている。町内三石の建設会社幌村建設では、建設DXを導入した施工で「日高自動車道新冠町新冠川橋A1橋台設置工事」(室蘭開発建設部発注)の工事を完成させた。16日に行われた現場の完成検定では、東京都建設局と現場事務所をオンラインで繋ぎ、デジタルデータによる施工管理や3次元データの活用方法を東京都の職員にリアルタイムで視聴してもらい、先進的な施工に取り組む建設現場の現状を伝えた。
測量から設計・施工、検査までの過程で従来の紙媒体による施工管理から、ICT技術を活用してコンピュータ上で3次元化したデータを共有し、建設現場の効率化・生産性を高める建設DXは、多くの企業や自治体担当者からも注目を集めている。
現在、建設が進められている日高自動車道の施工現場では、日高管内の建設企業各社が先進的に建設DXの導入を進め、既に最新のICT技術を活用した施工が行われている。
幌村建設では、計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入するBIM/CIMを活用し施工を進めてきた。建設DXの導入で、建設する構造物を3次元で作成すると、熟練技術者が少ない現場でも、全員が図面を理解できるほか、AR(拡張現実)の技術と組わせてデータを使い、地域住民へどのような工事を行っているかの説明や完成した後のイメージを視覚的に伝えられるなど、現場を運営する上での利点は大きい。
また、発注者との情報共有についても、これまでは、写真や書類など大量の紙媒体の資料を用意しなければならず、現場の完成検定においては、衣装ケース2つ分の紙資料を準備し、検定官からの質問一つひとつに大量の紙資料から対応する書類を探さなければならなかった。現場の管理を全てデータ化することで、手間や時間が大きく削減され、現場の生産性の向上と効率化に繋がった。
こうした建設DXを導入した最新の取り組みについて、導入を検討する東京都建設局の職員らが理解を深めようと、工事完成検定をオンラインで視察。同社が利用しているデータ管理などの情報共有システム「basepage(ベースページ)」を開発販売する川田テクノシステム(本社・東京)が視察をサポートした。
検定では、パソコンと2台の大型モニターを使って現場を担当した監理技術者の三角亮さんが、室蘭開発建設部の鈴木信技術検査官の質問に応答。三角さんは、検査項目ごとの質問事項に、視覚的に現場の状況が理解できるよう素早くデータや映像を画面に表示しながら説明を行った。
検定の様子は、川田テクノシステムの竹原良佑さんがスマートフォンで撮影しリアルタイムで東京都へ配信。検定後の意見交流では、視聴していた都の職員8人全員から「かなり進んだ取り組みだ」「検定がとてもスピーディーに行われている」などといった驚きの声が上がった。
質疑応答では、「電子化することでかなり省力化が進んでいるが具体的にはどんな取り組みを行ってきたのか」といった質問に三角さんは「ベースページを活用することで日々のとりまとめしたデータをそのまま検定にも使うことができる。そういったシステムを使うことで業務がスムーズになる」とアドバイス。都の職員は「発注者も電子化を受け入れる体制が整っている。受注者発注者が同じ方向を向いて取り組んでいることが理解できた。これから、電子化での管理を積極的に進めていきたい」と建設DXの推進に意欲を示していた。
幌村佑規副社長は「日高管内の建設工事現場の取り組みが東京都からも注目されている。今後も、社内にDX推進の部門を設置するなど、更なる活用の広がりに繋げたい」と話していた。
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