被爆ピアノの鍵盤に触れて音を出す生徒

　１９４５年の原子爆弾投下をくぐり抜けた「被爆ピアノ」が１９日、函館高等支援学校（立田俊治校長）に運び込まれ、３年生１８人が被爆ピアノを所有・管理する広島市の調律師矢川光則さん（７０）から話を聞き、ピアノや音色に触れて、平和への思いを深めた。

　被爆ピアノが函館で演奏されるのは初めて。２０日の函館市芸術ホールを皮切りに全道各地で開催する被爆ピアノコンサートのため来道。この日午後は、函館中部小学校でも演奏会を開いた。

　被爆２世の矢川さんは、被爆ピアノを譲り受け、全国で演奏会を続けている。今回持ち込んだのは、広島の爆心地から２・６キロの民家で被爆したピアノ。矢川さんはロシアとウクライナの戦争、北朝鮮によるミサイル発射に触れた上で「核兵器を使うような戦争が起こると、一瞬にして世界そのものが氷河期になってしまう。一刻も早く核兵器がなくなってほしい」と語った。

　その後、同支援学校音楽科の教諭２人が被爆ピアノを演奏し、伴奏に合わせて生徒が校歌を歌う場面も。最後は、生徒が象牙の鍵盤に触れて音を出し、原爆の傷跡が残る外装面を眺めて戦争や平和へ思いをはせた。

　食品デザイン科３年の谷口瑞樹さん（１７）は「戦争は人の命を奪ってしまう。平和が一番だとあらためて思った」と話していた。