亡くした悲しみ 癒やして 「グリーフケア」十勝にも広がる【帯広】
大切な人を亡くした深い悲しみ(グリーフ)を抱える人に寄り添い、回復を支える「グリーフケア」。帯広市内では遺族らが集まるカフェが定期開催されているほか、帯広第一病院の管内初の専門外来は開設から1年が経過。その認知度は高まっていて、多くの人のよりどころとなっている。
泣ける場所、助けられた(にじのかけらカフェ)
「満開のサクラを見ると悲しくなる。昔の記憶を思い出してしまって」
4月中旬に市内で開かれたグリーフケアカフェ「にじのかけらカフェ」には5人が参加。夫や母親、子どもなどを失った人たちが今の心情を語り合った。
時には涙声になり、「救急車のサイレンを聞くと震えが出る」など、それぞれの家族の死に関する思いを打ち明けた。2年半前に夫を脳梗塞で亡くした市内の黒田康子さん(70)は「こんなふうに泣ける場所があって、ずいぶん助けられた」と感謝する。
同カフェは家族介護者の体と心のケアに取り組む「ケアラーサポート」代表の佐々木景子さん(41)=更別村=が2カ月に1回開催している。
佐々木さん自身も2007年に母親をがんで亡くしている。12年にハワイで遺族のサポートを行っている団体「ハグハワイ」の活動に触れて以降、グリーフケアの催しに参加。その後、十勝に移住し、17年9月にカフェを開設。休止時期もあったが20年8月に再開し、何度も足を運ぶ人がいる。
「それぞれの体験は違っても、何かしら共感できることはある。話すことで少しでも気持ちが楽になればうれしい」。自らが救われた場を、他の誰かも救う場にしたいと考えている。
<にじのかけらカフェ>
通常は偶数月第3火曜に市内の複合施設「つがハウス」(西9南9)で開催。参加無料で飲食代は実費。予約メール(keiko.s.carer@gmail.com)で申し込む。問い合わせはつなぐ・らぼ帯広(090・8428・9552)へ。
専門看護師が早期対応(帯広第一病院)
帯広第一病院は昨年3月、グリーフケア外来を開設。管内に3人しかいない「がん看護専門看護師」の資格を持つ小里裕美さん(58)が対応している。
小里さんが所属するがん看護相談支援室は発足5年目。当初から、小里さんは死別を悲しむ人のケアに取り組んできた。がんの初期診断から終末期まで継続的に患者や家族を支援する中でグリーフケアはその一環とし、「早期対応で少しでも早く心を癒やすことができれば」と話す。
専門外来立ち上げ以降、家族などを亡くした人に四十九日を過ぎてからパンフレットや手紙を郵送し、外来を紹介。この1年間で計37件の相談があった。外来を打ち出したことで相談は従来の10倍以上になった。
コロナ禍では、入院患者との面会が禁じられている。それだけに家族が満足に会えなかったり、自宅療養を選ぶ場合があり、判断を悔やむケースが増えているという。涙ながらの面談は2時間以上になることも多く、小里さんは思いを聞き入れ、適切な医療を施したことなどを説明。「今はグリーフケアがより必要だといえる」と力を込める。
「悲しみを抱えている人の言葉を聞く。それは誰でもできること。そして一番大事なケアだということを知ってほしい」と周囲のサポートの必要性も訴える。
<グリーフケア外来>
対象は、帯広第一病院で受診歴がある人との死別を経験した人。月~金曜午前9時~午後4時で完全予約制。無料。問い合わせは同病院(0155・25・3121)へ。
関連記事
ポイ捨てゼロ願う ごみ拾い“袋文字” SNSで発信「皆さん考えて」【帯広】
帯広市西9南1の加藤芳規さん(82)は8年前から毎日、近所のごみ拾いを続け、ごみ拾いSNS「ピリカ」に、2週間分のごみを集めた袋で作る文字アートの写真を投稿している。これまで「ポ・イ・ス・テ」な...
マチルダ 袋いっぱい 大感謝祭【芽室】
芽室町内の農商工などが連携して町をPRするイベント「めむろ大感謝祭2024」(実行委主催)が23日、JAめむろで開かれた。大勢の家族連れらが訪れ、芽室の味覚を味わっていた。 「芽室に感謝す...
災害対応 海と空から 負傷者、物資の輸送訓練【広尾】
広尾署と広尾海保などは21日、広尾町内の沿岸部で、災害発生時の負傷者や救援物資の海上輸送を想定した合同訓練を実施した。巡視船「とかち」や道警の災害ドローンが出動、緊急時の連携対応を確認した。 ...
函館市南茅部地区パワースポット巡るモニターツアー 観光庁の地域観光新発見..
函館市南茅部地区のパワースポットや食文化に触れるモニターツアーが現地で開かれ、18人が参加した。参加者はパワースポット「吹上石(ぬけいし)」「垣ノ島遺跡の丘状遺構」を訪れ〝特別感″を満喫した。ア...
桜庭さん勝負の1年 ボウリング 12月マレーシアで大会 来年のデフリンピ..
函館市の会社員、桜庭まどかさん(36)が、12月1日からマレーシアで開かれるボウリングの第10回アジア太平洋ろう者競技大会に日本代表選手として出場する。来年11月に東京で行われる4年に一度の聴...
CATEGORY記事カテゴリー
MEDIA参加新聞社
ARCHIVE月別記事リスト
RANKINGアクセスランキング
- 週間アクセス
- 月間アクセス
-
1
函館市動物愛護管理センター開所 25日から運用 殺処分減へ【函館】
2道東道阿寒─釧路西 12月22日開通 札幌─釧路市街地直結【釧路市】
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4トラウトサーモン安定的生産に期待込め 浦河港内で養殖試験 浦河町栽培漁業研究会 事業化に向け可能性探る【浦河】
5帯広畜大「ゼニ研」に前田一歩園賞 ゼニガタアザラシの個体数調査継続【札幌】
-
1
高校で卒業式、1623人が門出の日【釧路管内】
2タイ国鉄車両工場長 シンハカーンさん キハ183系を見学 安平
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4釧路市動物園、ライオンのユウキ死ぬ【釧路】
5旧狩勝牧場再生へCF 返礼はソフト食べ放題やツアー 北広牧場【新得】