明治期に撮影されたパノラマ写真を紹介する野戸さん

　「ＮＰＯ箱館写真の会」（野戸崇治代表）は、１９日から写真展「奇跡のパノラマ写真」を函館市地域交流まちづくりセンターで開く。明治期に函館の市街地を撮影した複数のパノラマ写真を大きく引き伸ばして展示する。２７日まで。

　複数の写真をつなぎ合わせた明治期のパノラマ写真は函館山から市街地を見下ろす「函館港全景」、函館港側から函館山を眺める「函館全景」に大別され、それぞれ撮影時期の異なる写真がある。日清戦争が終わった１８９５（明治２８）年以降、函館山の要塞計画が進み、その後の要塞地帯法によって、函館山の撮影や立ち入ることも禁止されたため、明治２０年代までの期間しか残されていないのも特徴だ。 　特に「函館全景」は、現在の大手町や豊川町付近にあった「函館氷室」の建物から撮ったとみられる写真が複数あり、見比べることで町並みの変化を読み取ることもできる。

　野戸代表は「定点撮影やパノラマ写真の概念が定着していない頃から市街地のパノラマ写真がたくさん残っているのは奇跡的なことで、世界的に見てもないのではないか。細かいところを見るたびに新しい発見がある」と話している。