母馬のメジロツボネとスタッフ

１着でゴールを駆け抜けるグローリーヴェイズ（手前）（C）The Hong Kong Jockey Club

　香港・シャティン競馬場で１２日に行われた香港国際競走のＧⅠ・香港ヴァーズ（芝２４００メートル）で、レイクヴィラファーム（洞爺湖町成香）生産のグローリーヴェイズ（牡６）が優勝した。２０１９年に同じレースを勝っており、ＧⅠ２勝目を挙げた。牧場は喜びに包まれている。

　香港国際競走では、香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップの四つのＧⅠが行われ、日本馬１２頭をはじめ、地元香港や欧州などから強豪馬が参戦。香港ヴァーズには日本馬２頭のほか、英国でＧⅠ勝ちがあるパイルドライヴァー（牡４）や昨年の覇者モーグル（同）など８頭が出走した。

　グローリーヴェイズには、香港のトップジョッキーでマジック・マンの異名を持つジョアン・モレイラ騎手が騎乗。スタート後、道中は馬群の後方を追走。スローペースの中、最後の直線で外から名手のリードに応えて鋭い末脚を見せ、２着馬に１馬身の差を付け優勝した。

　同馬の生まれ故郷・洞爺湖町のレイクヴィラファームのスタッフは、休憩室でレースを見守った。的野裕紀子さん（３７）は「正直、届くのかなと心配だった。ホッとしました。勝ってくれて良かった」と喜んだ。

　グローリーヴェイズは父ディープインパクト、母メジロツボネ。１５年３月２日に誕生した。「体が小さく、母馬は元気良く走り回っていて、よく置いてきぼりになっていた。母馬に付いていくのに必死で、毎日へとへとになっていた。疲れもたまりやすかったので、頻繁にケアをしていた思い出がある」と的野さんは子馬のときの様子を振り返る。

　１６年に苫小牧で行われた国内最大のサラブレッドの競り市「セレクトセール」に上場され、５６１６万円で愛馬会法人シルク・ホースクラブに落札された。育成に移るとノーザンファームの育成場の厩舎（きゅうしゃ）長から「すごくいいよ」と高い評価を受けた。１７年１０月にデビュー。重賞を含めて６勝（重賞４勝）する活躍を見せている。

　母系はレイクヴィラの前身旧メジロ牧場の系統で、３代母には日本競馬史上初の牝馬３冠馬・メジロラモーヌがいる“メジロ血統”。この勝利で種牡馬入りの可能性も広がる。「彼の子どもには絶対に携わりたい」と的野さん。次走は決まっていないが「どのレースを走るにしても勝ってほしい」と期待を寄せた。