早朝に通勤バス試験運行 始発前の足確保、就労環境改善 新千歳
新千歳空港出入国体制強化ワーキンググループ(WG)は早朝、「従業員通勤バス」を試験運行している。公共交通機関の始発よりも早い午前5時、千歳市内から空港へのバスを予約制で運行。空港で人手不足が深刻化する中、空港で働く人たちの就労環境を改善する狙いだ。14日から27日までの期間限定で、これまで1日当たり数人の乗車だが、利用者からは「始発よりも早くて便利」などと好評だ。
WGは、地上支援業務(グランドハンドリング)や出入国手続き(CIQ)などを担う企業や団体などで構成し、事務局は北海道エアポート(HAP)が務めている。新千歳では2019年から、人手不足の対応などを検討する二つの組織を設け、今年1月に同WGに統合した。
その中で空港従業員の就労環境改善が課題に上がり、深夜・早朝の通勤手段確保が俎上(そじょう)に。これまで対応は空港内の各社によってまちまちで、独自に通勤手段を確保したり、タクシーチケットを配ったり。従業員が自家用車を使うケースもある。
HAPは「今後の課題解決に向けて、まずは早朝だけでもバスをトライアル運行することになった」と説明する。空港に乗り入れる公共交通機関の始発到着時間は、バスは午前6時すぎ、JRの快速エアポートも同6時半ごろで、14日からこれら始発よりも早い通勤バスを試行している。
バスは午前5時に千歳市内のJR長都駅を出発し、JR千歳駅、千歳市役所を回って、空港に同5時半ごろには到着。トライアルで利用ニーズなども確認するため、今回は午前6時発も用意した。バスはWG構成員の企業が予約制で運行し、空港内で働く人が無料で利用できる。
午前5時台にJR千歳駅から利用したセントラルリーシングシステム保安警備課の阿部太樹さん(40)は「タクシーチケットはもらえるが会社に負担がかかる。バスがあれば使う」と話し、「夜に航空機が遅延すると、JRがないこともある。深夜にバスがあると、もっとありがたい」と期待していた。
新年度もトライアル運行する予定で、HAPは「本運行する場合は無料とはならない。乗り場も3地点でいいのかなど、WGで検討して取り組んでいけたら」としている。
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