ウニ陸上養殖実証試験を開始 釧路管内水産種苗センター【厚岸】
【厚岸】道は、町内の釧路管内水産種苗センターでウニの陸上養殖実証試験を開始した。生産から流通、消費までの総合的な検討で生産性や収益性を向上させ、意欲ある漁業者が自主的に営める新たな陸上養殖を展開するためのモデルとする。
道内では主要魚種の不漁が続き漁業生産が不安定なことから、道は計画的な生産が期待できる海面養殖や陸上養殖に取り組む考えを、今月の道議会で鈴木直道知事が示していた。
陸上養殖は、水温上昇や波浪、赤潮など自然環境の影響を受けにくいが、一方で餌代や光熱費が高額になる。そこで、餌となるコンブを漁業者自ら前浜で調達でき、高価格での取引が見込めるウニを実証試験の対象とした。
実証試験は、釧路管内の漁協や市町で組織する同センター運営委員会が26日から開始した。同センターで平均8㍉まで育てた稚ウニ1万3440粒を飼育用の水槽に移し、1年で40㍉ほどまで成長させ出荷するのが目標。通常、ウニは水揚げまで3~4年かかるが、餌を食べる量が減る冬は水槽をヒーターで加温して水温15度に維持し、一年を通してコンブをたくさん食べさせることで成長を早める。コンブが採れない冬は冷凍物を与える。
同運営委員会ではこれまで、2年にわたり小規模な陸上養殖の実験を行ってきたが、良好な結果が得られていることから、道が実証試験の業務を委託した。
試験は2025年度までの予定で、今年度の予算は約600万円。同センターの水槽など既存施設を活用することで初期投資を抑えた。