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十勝毎日新聞

異変見逃さないで「子どもの熱中症」 厚生病院・加藤医師【帯広】

 夏を迎え、心配されるのが「子どもの熱中症」だ。最高気温が30度を超える「真夏日」もある十勝で過ごすためには、熱中症を正しく理解する必要がある。帯広厚生病院救急科主任部長の加藤航平医師(43)は、「子どもは大人よりも熱中症になりやすく、自ら症状も説明できない。周囲の大人が注意を」などと話す。

「子どもは大人よりも熱中症になりやすい。周囲の大人が注意を」などと話す加藤医師(撮影時のみ、マスク非着用)

 -熱中症のメカニズムを教えてください。
 私たちの体は、身体の中で熱を作ったり、外から熱を取り込んだりして、体温が上がります。皮膚の近くに多くの血液が流れる事で熱を外に逃したり、汗の蒸発で体が冷える事で体温を下げます。

 しかし、暑くなったり、運動後は、体で作られる熱が外へ出ていく熱を上回ってしまい、体温が上がります。汗を大量にかくと、体内の水分や塩分が減り、血液の流れも滞ります。これにより、体内が高温にさらされ、さまざまな不調が起こります。これが熱中症です。

 -「子どもは熱中症に陥りやすい」とされます。その理由は。
 大人と比べて、熱を放散しにくく、熱を吸収しやすいためです。理由は、いくつかあります。乳幼児や幼児は、体温調節機能が未発達で、汗腺も少なく、汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間もかかります。このため、体に熱がこもりやすく、体温もが上昇しやすい。

 血液量が少なかったり、体重当たりの体表面積が大きいなどから熱を逃がすことができず、反対に周りの熱を吸収します。身長が低いため、地面からの照り返しの影響を強く受けます。大人が暑いと感じる時、子どもは、さらに高温の環境下にいる格好です。

 -熱中症を疑う症状と対応を教えてください。
 ぼんやりしているような意識障害、反応が悪い、体温が40度以上、汗が出ないなど。これは緊急性が高い。ちゅうちょなく、救急車を呼んでください。

 主な症状は、こむら返り、吐き気、倦怠(けんたい)感、頭痛、めまい、ものすごく汗をかくなど。小まめに、子どもを確認し、こうした兆候の有無を確認してください。

 応急処置は(1)太い血管があるわきの下や首、太ももの付け根などを氷で冷やす(2)冷たい濡(ぬ)れタオルで身体を拭く(3)風を送る(4)涼しい場所に寝かせるなど。

 飲み物を安全に口にできる状態なら、電解質などを含む飲料(経口補水液など)の補水を。身体から失われた水分と塩分を補給するため、常備してください。

 -周囲の大人が注意すべき点は。
 気温や湿度に基づく指標・暑さ指数(WBGT)を示した環境省の「熱中症予防情報サイト」では、十勝管内の市町村ごとに指数も公表されています。指数によって(28以上31未満は)激しい運動を避ける、(31以上は)涼しい室内に避難するように…となっているので意識を。

 子どもは、自らの体調の変化を訴えられない。遊びにも夢中になってしまい、身体の異変に気づかない。だからこそ、周囲の大人が気にかける必要があります。

 予防は(1)小まめな水分補給(2)帽子をかぶったり、気温に合わせた衣類着用(3)小まめに日陰・屋内で休憩する(4)顔が赤くなったり、ひどく汗をかいているなど、子どもの異変に敏感になる(5)車内や屋内では適切なクーラーの使用─などです。