占領前の暮らし紹介

北方領土の問題について理解を深めたふるさと教育

　北方領土語り部講演会が９月２６日、室蘭市高砂町の東明中学校（高橋泰明校長、２００人）であった。生徒たちは語り部の言葉に耳を傾け、北方領土の問題について理解を深めた。

　道教委が推進する道内の歴史や文化を学ぶ「北海道ふるさと教育・観光教育等推進事業」の一環。語り部は北方領土の元島民や後継者らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟相談員の佐藤みゆきさん（６０）＝元島民２世＝が務めた。佐藤さんは北見市出身で、父が歯舞群島出身だという。

　佐藤さんはロシア（旧ソ連）に占領される前の缶詰工場など四島の産業や暮らしが分かる写真や地図を示しながら歴史を紹介。そのほか、元島民が体験した終戦後にソ連に侵攻され不法占拠された悲痛な思いを伝えた。

　また、ロシアのウクライナ侵攻による日ロ関係悪化により、返還運動は「厳しい状態にある」と強調。四島を訪れた際の状況を振り返りながら「訪問が再開されるのを願っている」と訴えた。

　３年の佐藤春日さんは、授業では聞けない貴重な機会だったとし「実際にあった悲惨な話しもあり悲しい気持ちになった。問題が解決に向かってくれたら」と願った。