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室蘭民報

有償譲渡を検討 室蘭市、ガントリークレーン【室蘭】

港再エネ産業へ、鹿児島県と調整

鹿児島県への有償譲渡へ調整に入ったガントリークレーン

 室蘭市は、室蘭港崎守埠(ふ)頭に設置している荷役機械・ガントリークレーン(定格荷重30・5トン)の有償譲渡の検討に入った。コンテナ船の寄港休止を受けて、リユース先として現在、鹿児島県と調整を行っている。崎守埠頭では洋上風力関連産業の動きが進んでいることもあり、港湾荷役から再エネ産業への比重が大きくなる見通しだ。

 ガントリークレーンは、コンテナ船が着く港湾に設置され、コンテナ貨物を積み下ろしする荷役業務を担う。市が横浜市の埠頭公社から1997年に無償で譲り受けた。

 崎守埠頭第6バースに設置、稼働しており、老朽化に伴い2017年に更新。当時、既存クレーンの約1・4倍の能力を有し、荷役の効率化による受け入れ能力増強で外航コンテナの新規重要を開拓する狙いもあった。

 事業費は計8億8千万円。2020年度から元金の償還(年間約6千万円)が始まっているほか、ガントリークレーンやコンテナヤードの使用料を減免してきたことで、港湾会計を圧迫。市は経営戦略に基づく収支改善に取り組み、22年度にはコンテナ船入港料、係留施設使用料の減免解消がなされたものの、ガントリークレーン、コンテナヤード使用料の減免解消には至らず、24年度に再度段階的な減免解消を打診してきた。

 船社がコンテナ船の寄港休止を判断したことで、ガントリークレーンの在り方を検討。情報収集を進める中で、鹿児島県川内港で利活用のニーズがあることから、管理者である鹿児島県との事務レベルでの打ち合わせがスタート。

 洋上風力発電の入札であるラウンド2では「秋田県八峰町、能代市沖洋上風力発電事業」で室蘭港が使用されるほか、大手ゼネコン・清水建設に続き、大林組と東亜建設工業が所有する自己昇降式作業台船(SEP船)が拠点港とするなど、崎守埠頭が洋上風力関連産業の“要”となりつつある。

 市は第6バース背後地を含めて一体的に活用した拠点構築を目指す考えで、「既存の物流事業者と共存しながら、効率の良い公共埠頭の在り方を目指したい」としている。

全体の将来展望を

 【解説】室蘭港崎守埠頭の役割が大きく変わる。1997年から代替わりしつつも、この間27年にわたり荷役を担ってきたガントリークレーン。譲渡方針を受けて、港湾荷役としての機能は残しつつも、今後は洋上風力関連産業としての活用が加速する見通しだ。

 現在のガントリークレーンは2017年に更新されており、コンテナ貨物の取り扱いを維持・促進する狙いがあった。当時の崎守埠頭は物流としての利用がメイン。使用料の減免を行ってでも航路開拓に望みを託したが、定期運航は現在1社のみ。償還費は年間約6千万円に上り、収支改善が近年の港湾会計の最大の課題となっていた。

 船社がコンテナ船の休止を決めたことで、事態は加速した。クレーンの有償譲渡先として、川内港を管理する鹿児島県が浮上。クレーンの規格の違いなどにより受け入れ先の調整は困難を極めたが、唯一、同港のみが適合。事務レベルでの協議に至った。

 譲渡額や時期は今後の協議となるが、崎守埠頭は「秋田県八峰町、能代市沖洋上風力発電事業」で拠点港として使用され、27年4月から土地利用が始まる予定。タイムリミットが限られている中、崎守埠頭も含めて室蘭港全体の将来ビジョンをどう描くかも、今後の重要な課題となる。

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