海洋生物の現状を紹介する笹森さんの特別授業

　自然写真家で国内外で海洋生物の調査・研究を行う笹森琴絵さん＝酪農学園大学特任准教授＝が１２日夜、室蘭栄高校定時制で特別授業を実施。鯨類の生態を通じて海洋生物の環境が汚染されている現状を紹介した。

　笹森さんは、海洋生態系の頂点にいるクジラを取り巻く現状として、水流変化や海洋汚染などを示し「脅威のほとんどは人間の生活によるもの」と指摘。温暖化による水流変化の一例として、暖海に生息するウミガメやカツオノエボシ、スジイルカといった生物が近隣の海岸に打ち上げられているとした。

　プラスチック漂流物により、健康被害や餌不足、子育て環境にも影響すると説明した。「クジラやイルカが直面している現状は人間にとっての未来。日本は海陸の保護、温暖化対策で後れを取っている。海洋生物は地域の宝。子どもたちへの教育や観光資源の観点から大切にする価値がある」と訴えた。