避難や情報伝達円滑に 登別市連町、93町内会にハンドマイク配布【登別】
登別市連合町内会(中川信市会長)は地震や津波などの災害時に備え、市内93町内会にハンドマイク300個を配布した。避難行動や情報伝達を円滑に行うことが目的。鳴海文昭事務局長は「いざという時には声も出なく戸惑うことが予想される。日ごろから町内会でハンドマイクの使用方法や発声練習をし、素早く逃げることを伝えていただきたい」と呼びかけている。
道が昨年7月、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に伴う太平洋沿岸自治体の被害想定を公表。登別市には地震発生から39分後に高さ最大12メートルの津波が押し寄せ、死者数は冬の深夜だと2万人に上ると推計。早期に避難できれば人的被害を大幅に減らせる、とした。
市連町はこの結果を受け、素早く避難を呼びかけることが多くの命を救えると考え、ハンドマイクを市内全93町内会に世帯数ごとに配置することを決め、本年度の生活安全部会防災事業として8月中旬から11月まで配布作業を行った。
ハンドマイクを配布することで、市から連町事務局に入る緊急災害情報を、2014年度から連町が運用している「緊急災害時情報伝達網」で各町内会に伝えた後、ハンドマイク所持者が住民に伝達事項を迅速かつ的確に伝えることができるようになった。
市は62基の防災行政スピーカーを設置し、災害時などの際に放送するが、鳴海事務局長は「広範囲の配置や風向きにより聞き取れない場合もあり、このハンドマイクで各町内会が自宅前などで情報伝達を行い、早く知らせ、逃げることができれば」と願っている。
市は昨年、幌別鉄南地区連合町内会の8町会67世帯にハンドマイクを配布し、今年5月に使用訓練を行っている。9月の全市一斉防災避難訓練でも、連町がハンドマイクを活用した避難を呼びかけるなど、市と連町が協力して浸透を図っている。
市連町生活安全部会の大坂倫一副部会長は「大災害発生時以外にも停電や河川の氾濫、クマの出没など、さまざまな場面でハンドマイクは使える。いかに命を守ることが大事かを訴えていきたい」。11月にハンドマイクを受け取った常盤町内会の荒関芳弘会長は「災害の時だけでなく、町内会行事にも活用したい」とそれぞれ話した。
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