運転手確保へ“新技”、プロレスリングに企業広告 道南バス、ユニーク宣伝戦略【室蘭】
全国的に深刻化するバスの運転手不足。来年4月から運転手の時間外労働の上限や、休息時間の確保が課題となる「2024年問題」を控え、さらなる運転手不足が見込まれる。そんな中、室蘭市東町の道南バス(長谷川義郎代表取締役社長)が行う、ユニークな企業PRが話題だ。
11月上旬、札幌市内で開催された全日本プロレス「♯ajpwジャイアントシリーズ2023~北海道篇」。リング上で強烈な打撃技や華麗な空中技が繰り広げられる中、コーナーポスト一角に「道南バス」のロゴが掲げられた。
数年前から選手の送迎を同社が引き受けていた縁で掲示が決まり、「異業種とのコラボで幅広い世代に道南バスを知ってもらうきっかけになった」と長谷川社長。
同社は今年、室蘭市内5カ所をバスで巡り、謎を解き明かす体験型イベントや「お悩み解決!バス乗り方教室」、プロ野球北海道日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道(北広島市)」の往復バスツアーやテレビCMなど、現状打破へあの手この手を使った宣伝戦略を打ち出してきた。
長谷川社長は「今までと違う、こんな時だからこそ面白いことを実践して会社を知ってもらい、運転手不足や利用者増にもつなげたい」と話す。
同社は今春以降、正社員4人、契約社員6人が入社。年内に数人ほど採用する予定もあるという。それでも、来春の時間外労働規制に対応するには人手不足に変わりはなく、採用担当者は「高齢化は進む一方なので一概に喜べる状況ではない」と複雑な心境を語る。
同社の会社説明会では、乗務員により関心を持ってもらおうと、車両運転体験を実施するなど求人PRにも力が入る。11月に苫小牧営業所で行われた説明会には約10人の市民が参加。それぞれハンドルを握り、就業後のイメージを膨らませていた。来年以降、室蘭市内でも運転体験を導入する予定で、会社見学も随時応じるという。男女問わず乗務員確保に向けた動きが活発になっている。
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