函館市、海洋再エネで水素製造 国内初事業化へ検討【函館】
函館市は12日、函館の海洋再生可能エネルギーを活用して洋上で発電し、水素を製造する国内初のモデル事業の検討に着手したと明らかにした。市や地元企業、大学などと検討会を立ち上げ、定期的な会合を開き、新規事業の具体的な内容を検討する。国が音頭を取る「脱炭素」を進める上で水素への燃料転換は重要な要素で、函館での事業化を目指す。
クルーズ客船「にっぽん丸」で知られる商船三井グループの海事専門商社「商船三井テクノトレード」(東京)が発起人となり、エア・ウオーター、AIRDО、津軽海峡フェリー、函館高専、函館市、米国船級協会、北大、北洋銀行の8者が参加する。
市によると、洋上の再生可能エネルギー(波、潮力、風力)を活用し発電、その電力を使い海水を電気分解して水素を作る。海上で作った水素を陸揚げし民間利用する。水素活用は冷凍冷蔵の省エネやノンフロン化、配送用大型トラックの燃料、ハイブリッド電動船舶導入などを想定している。
水素の製造規模や貯蔵施設の建設、事業費、補助事業活用の有無など詳細は今度詰める。今年度末に事業の方向性を発表するという。
商船三井テクノトレードは、函館の持つ海洋再生可能エネルギーの優位性に着目し適地だと判断、昨年6月に函館港の利用に関して市港湾空港部に打診、水素エネルギーの利活用と分かった段階で市経済部も協議に関わるようになった。水素の利活用にあたり、他の函館の企業や団体にプロジェクトへの参加を求めており、脱炭素社会の実現と地域活性化につなげたい考え。
今月3日には、市役所で初会合(オンラインも併用)を開き、米国船級協会以外の8者の担当者が集まった。市工業振興課の米田剛課長は「市はゼロカーボンシティーを宣言し、省エネ、再生可能エネルギーの導入拡大を進めている。次世代エネルギーの水素の利活用も、ゼロカーボンシティーの実現に向けた一歩になる。多くの事業者に門戸を広げ、地域活性化につなげたい」としている。
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