元島民ら墓参再開要望 自見北方相が初来根【根室】
【根室】9月に発足した第2次岸田再改造内閣の自見英子(はなこ)沖縄・北方担当相(47)=参院2期、福岡県=が12日、北方領土視察のため初めて根室入りし、自治体関係者や元島民らと意見を交わした。
この日の納沙布岬は、目の前の歯舞群島がくっきりと、国後島三山の泊山、ラウス山、爺爺岳も確認できる視察日和。石垣雅敏根室市長や岬の啓発施設「北方館」の岩山幸三館長の案内で岬に立った自見北方相は「自分の目で確認することができ、改めてこの近さの中で北方墓参などの事業ができていないことに私の胸も引き裂かれる思いだ」と述べ、指呼の島々に手を合わせた。
千島歯舞諸島居住者連盟(略称・千島連盟)の松本侑三理事長(82)=択捉島出身=らは「北方墓参の早期再開」と、元島民と後継者1代のみに限られている「北方領土問題対策協会融資の見直し」を求めた。
千島連盟根室支部後継者「かけはしの会」の荒井秀子副会長(55)=色丹島2世=は、元島民の減少や2世の高齢化から次世代への継承策として、北方四島交流船「えとぴりか」(1124㌧)を使った研修事業を提案。「元島民の熱い思いを受け継ぐ担い手として3世、4世に参加意識を持ってもらえるよう『えとぴりか』船内で宿泊し、膝をつき合わせて学ぶ交流事業を実施したい」と訴えた。
自見北方相は「素晴らしい提案で、関係者の意見も伺いながら『えとぴりか』の啓発事業への活用をさらに検討したい」と述べた。
自見北方相は岬で出迎えた元島民らと記念撮影に臨んだほか、意見交換の場ですべての参加者と名刺を交換。さらに松本理事長からの要望書を直接受け取るなど、従来の大臣とは異なる対応を見せた一方、墓参の早期再開には「具体的な展望は申し上げられないが、今後の日ロ間の最優先事項」、融資見直しについても「丁寧な検討が必要」と従来と変わらぬ返答を繰り返していた。
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