買い物客に登録方法などの説明を行うパナＩＴＳの社員ら

　車載機器大手・パナソニックＩＴＳ（横浜）は１６日から室蘭市内の提携店舗での買い物や飲食支払い時にタクシー割引クーポンを発行する実証実験をスタートさせる。新たなタクシー需要の掘り起こしと移動の活性化による経済への波及効果を検証し、２０２４年度の事業化を目指す。

　実証実験はスマートフォンなどで交通手段の検索や決済を円滑にする室蘭「ＭａａＳ（マース）」プロジェクトの一環。期間は１２月１５日までの土日祝日を除いた約２カ月間。今回の実証ではクーポン発行店舗と利用者の自宅間でのタクシー利用を目的に実施する。

　実証実験にはパナＩＴＳが開発したアプリを活用。市内に営業所や事業所を置くタクシー３事業者を統合した管制システムを導入。パナＩＴＳが事業者それぞれにアプリの入った１０台のスマホを貸し出し、利用者の乗車希望などを通知で知らせる。

　利用者は会員登録を済ませ、提携店舗でのレシートと引き換えに運賃割引クーポンをもらう。または、店舗のタブレットからクーポンを個人のアカウントに登録することも可能。提携店舗はモルエ中島（中島本町）やアークス室蘭中央店（中央町）、やきとりの一平本店（中島町）など１０店舗。

　パナＩＴＳは１３日まで、モルエ中島に専用ブースを設け、利用や登録方法などを買い物客らに説明する。１１日午後５時現在、６２人が登録を済ませている。

　パナＩＴＳ室蘭開発室の加納利博課長は実証実験について「認知や周知できるかがポイント。地域にとってより良い交通システムを実現したい」と展望する。また、利用者拡大に向けては「町内会への直接的なアプローチや提携店舗を広げていきたい」との考えを示す。

　会員登録を済ませた坂本瑞穂さん（４６）＝知利別町＝は実証実験について、知らなかったという。説明を受けて「ありがたいサービスなのでぜひ利用してみたい。タクシー需要の増加にもつながるのでは」と話した。