ヒトデ活用、害獣忌避剤 根室の吉田水産が開発
【根室】市内西浜町の水産加工会社「吉田水産」(吉田勲社長)は、厄介者のヒトデを原料にした害獣忌避剤を開発した。原液は臭気計測器の針を振り切り、エゾシカも飛び跳ねて逃げるほどで、その様子を収録した公開中の実証動画3本も話題を呼んでいる。エゾシカ事故に悩むJR北海道との間で試験も検討されるなど、その効果に期待が高まっている。
製品名は、害獣忌避剤ヒトデ濃縮液「強臭力(きょうしゅうりき)」。開発は約5年前から、途中肥料として製品化したが、肥料の使用者から「忌避剤になるのではないか」との声が多数寄せられたこともあり「害獣忌避剤」として再開発、「強臭力」が完成した。
臭いを前面に押し出したヒトデ100%の濃縮液体タイプとしては初の商品だという。ヒトデまるごとを液体化、臭いを倍増させている。原液の「臭い」は公的機関も「測定可能範囲の上限を越えるため測定不能」。20倍に希釈した液体も、人による臭気鑑定で最高ランクの「強烈な臭い」。開発者の辻宰(つかさ)課長も「鼻をやられました」というレベルで、嗅覚に優れる動物への効果は期待大だ。
エゾシカ養鹿(ようろく)業者の協力を得た実験では、原液を染み込ませたスポンジを入れた普段使いの餌箱に近づいては飛び跳ね、近寄らない様子が映る。ユーチューブの「吉田水産センウロコチャンネル」で検索できる。
ヒトデは体内に有害なカドミウムや鉛などを取り込むため、専門業者による有害成分分析が必要。吉田水産では、この分析もクリアした根室産天然ヒトデ100%の安全安心な製品を使用している。
世に出回る粉末・固形タイプよりも希釈できる「強臭力」は、コストパフォーマンス、ランニングコスト面でも優位性があるとし、イノシシなど多くの害獣への効果を期している。
同社は、小窓を開けたペットボトル(500㍉㍑)に強臭力150㍉㍑を入れてつるす方法を薦める。10㍑製品を10倍希釈した666本を、4㍍間隔で2・6㌔に設置可能。東京のアルミ加工会社と強臭力用の器具も開発中だ。
強臭力は1㍑、10㍑、20㍑入りで4400~7万7000円。問い合わせは同社バイオ事業部0153(23)4841へ。
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