支笏湖の水辺利用者へ協力金、実証実験始まる 1人500円
千歳市の支笏湖周辺の民間事業者らでつくる一般社団法人国立公園支笏湖運営協議会と環境省は1日、同湖畔の一部エリアで水辺利用者から「支笏湖環境保全協力金」を徴収する実証実験を始めた。最初の土日となった2、3の両日、目立ったトラブルはなかった。実証実験は30日まで。2024年度からの本格実施へ今回の結果を踏まえ、料金設定や運営方法などを詰める。
実証実験は、千歳市支笏湖温泉地区の第5駐車場(現在整備中)近くの千歳川沿い水辺エリアの利用者が対象。30日まで毎日午前9時~午後5時、腕章を着用した徴収員が、カヌーなどに乗らなくても同エリアに立ち入る人に一律1人500円の負担を求め、支払った人にリストバンドを手渡す。駐車料金1台500円とは別に徴収する。
2日、札幌から家族5人で訪れ、ボードに立ってパドルをこいで水面を進む「SUP(サップ)」やカヤックを楽しんでいた西郷由利香さん(50)は事前にインターネットで協力金制度について知った上で、同エリアを選択。「中学生の息子が初心者だったので、協力金を取る環境なら安全かなと思ったが(協力金が)1000円なら、迷ったかもしれない」と述べた。
近年、同湖ではカヌーやカヤックに加え、サップの人気も急上昇。水辺の利用者が増える中、ライフジャケット未着用の危険な遊泳行為や水辺に道具を放置するなどマナー違反も目立ち、対策の一つとして今回の協力金制度が浮上した。
同湖畔でサップの体験ガイドを展開する「Hokkaido Great Adventure」の岸浩明代表は協力金制度に理解を示した上、「お金を取る側は今まで以上に責任を問われると思う。道具の置き場所など水辺の管理に加え、利用者の安全確保に向けた仕組みについてもっと考える必要性を感じる」と語った。
協力金は、湖利用のルール普及やエリア内パトロール、環境保全活動などの財源に充てる予定。
実証実験で協力金の徴収業務を担う同協議会は、現時点で目立った反対の動きはないと説明。「水辺の利用者が急増する中、安全対策は重要になっているが地域の力だけでは限界があり、さまざまな声に耳を傾けて今後の対応をしっかり考えたい」としている。
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