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函館新聞

さようならテーオーデパート 61年間の歴史に幕、100人超が閉店見届ける【函館】

閉店を惜しむ買い物客の前で61年の歴史を閉じるシャッターが下りたテーオーデパート(8月31日午後7時15分ごろ)

 函館市梁川町のテーオーデパート(伊藤由喜社長)が、8月31日の営業を最後に閉店した。同店正面入り口前でセレモニーが行われ、100人を超える市民が見守る中でシャッターを閉じ、開店から61年の歴史に幕を下ろした。

 同店は1962(昭和37)年10月、「クレジットデパートテーオー」としてオープン。衣料品を中心に食料品、化粧品、ブランド品などのテナントが入居したほか、芸術作品展などのイベントも頻繁に催され、五稜郭・梁川地区の買い物や憩いの場として活況を呈した。近年は人口減に伴う市場規模の縮小、新型コロナウイルスの影響などで来店客が減少や主力の衣料品の売り上げ低迷が響き、今年2月に閉店を発表した。

 この日は午前10時に最後の営業が始まり、開店からわずか10分ほどで3カ所ある駐車場が満車に。平日にもかかわらず店内は閉店を惜しむ市民らでにぎわい、午後にかけて終日にぎわった。同店では31日まで閉店セールを展開し、このうちデパートと同じ日に閉店する1階の雑貨店「オレンジハウス」は仕入れた商品数千点が30日までに全て完売したという。

 閉店時間の午後7時、最後の来店客が続々と店を後にすると、テナント従業員らが正面玄関付近に整列して閉店セレモニーが行われた。伊藤社長は「入りやすいお店、気取らないお店、買いやすいお店として地元の皆さまに支えられ、61年間営業を続けてきた。たくさんのお客さまにご愛顧賜り、心より御礼申し上げます」とあいさつ。7時10分ごろ、従業員全員が深々と頭を下げ、これまでの感謝を表した。シャッターが下りると盛大な拍手が起こり、集まった市民が閉店の瞬間を見届けた。

 6年前まで同店のテナントで勤務していた同市湯川町の主婦、小田桐さなえさん(46)は「客としても従業員としても思い入れがある。老舗と呼ばれる店がまた一つなくなって寂しい」と惜しんだ。北浜町の会社員、佐藤伸哉さん(21)も「棒二(森屋)、テーオーも閉まって函館らしさがなくなる気がして悲しい」と話した。

 閉店後のテナントについて、テーオーカードセンターは梁川町10のレノン梁川1階右側に移転し、テーオーカードのキャッシング業務を継続。家具店「菱乃実ホームインテリア」は1日から、旧ツルハドラッグ函館千歳店跡(千歳町)に移って営業する。

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