学徒援農の縁で交流 福岡の小倉南高の生徒が浦河を訪問【浦河】
戦時中の学徒援農が縁で浦河町とのつながりがある北九州市の福岡県立小倉南高校(生徒数606人)の生徒12人が、2~4日まで浦河町内に滞在し、農業体験や交流活動に取り組んだ。
太平洋戦争中、中等学校や農学校の生徒が学徒動員され農家に分宿し援農活動に従事する学徒援農で、小倉南高校の前身である小倉園芸学校の生徒42人が1943年(昭和18年)に浦河町に派遣され、当時の荻伏村で農作業に従事した。
98年(平成10年)の夏に、当時の援農生ら関係者9人が55年ぶりに浦河町を訪れ、農家関係者らと再会し、その際に記念の「学徒援農記念碑」の建設にと費用の一部25万円を町に寄付し、2000年に赤心社記念館に記念碑を建立。翌01年には町も支援し、小倉南高校の校庭に学徒記念碑が建てられた。
こうした交流活動を通して、同校同窓会の南薫会が先輩たちの築き上げた浦河との縁をこれからもつないでほしいという思いから、同会による支援で生徒の浦河町訪問事業が行われている。17年と18年には、小倉南高校の生徒が浦河町を訪問し、民泊体験や交流事業が行われていたが、その後のコロナ禍の影響で交流事業は中断していた。
今回、浦河町を訪れたのは、校内選考で参加した1~3年生12人の生徒と引率の教員2人。滞在中は、アエルの厩舎での農業体験やJRA日高育成牧場の施設見学、池田鮮魚店の協力による魚の捌き体験、町イチゴ栽培試験ハウスでの収穫体験などに取り組むほか、浦河高校で地元の高校生との交流も行う。
一行は、2日夕方に浦河町に到着。援農記念碑がある旧荻伏村役場の赤心社記念館前で池田拓町長、浅野浩嗣教育長、荻伏地区の礎を築いた開拓結社の赤心社の沢恒明社長が出迎えた。池田町長は「こうして皆さんが浦河の地に足を運んでくれたことを嬉しく思う。皆さんの先輩が戦時中の大変な時代に苦労されたことを学び、九州から来た皆さんが見慣れていない北の大地の風景を堪能していってほしい」と生徒たちの訪問を歓迎した。
生徒たちは、赤心記念館で浦河町郷土博物館の副館長伊藤昭和学芸員から開拓当時の様子や歴史についての説明を受けながら、浦河とのつながりについて理解を深めた。
生徒を代表し3年生の藤井心遥(こはる)さん「先輩たちの援農で浦河町との縁ができた。先輩たちがどのようにして浦河町の農業の発展に関わってきたのかなど、ここで学んだ歴史を小倉に戻ってから伝えていきたい」と話し、全員で記念碑を囲み記念撮影。夕方の心地よい風を感じると「風がさわやかで、北海道に来てよかった」と笑顔を見せていた。
3日は、午前8時半からアエル近くの功労馬がいる再現厩舎のセンター厩舎内で農業体験。生徒12人は乗馬課チーフの紺野愛(めぐみ)さん(34)から馬房の掃除の仕方を教わり、乗馬用の馬が利用する8馬房の掃除を行った。
生徒たちは靴を履き替えて、ボロミとボロかきを手に馬房内の馬糞を取り除き、フォークできれいな藁と汚れている藁を分別し、竹ぼうきで掃いたあと、馬が食べる牧草を配置し、寝藁を敷く作業に取り組み、約1時間の作業で汗を流した。
このあとJRA日高育成牧場の施設見学、浦河高校で浦河高生との交流をなど行い、4日は午前9時半にチェックアウトして浦河を出発、白老町のウポポイなどを巡り帰路につく。
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