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釧路新聞

エスフーズの関連会社、釧路町に食肉加工センター【釧路町】

 【釧路町】食肉加工大手のエスフーズ(本社・兵庫県)関連会社の北海道和牛マスター(釧路町曙)が、町トリトウシ原野に牛専門の食肉加工センターの建設を決めた。繁殖から育成、肥育、加工、販売までを一手に手掛けることで、釧路、根室地域での新たな産業創出と酪農畜産振興、経済活性化につながると、関係者から高い期待が寄せられている。  エスフーズは関係会社を含め、食肉の製造・卸売事業、小売り、外食産業など国内外で広く事業を展開する。新施設では和牛の繁殖から育成、加工、販売までを手掛ける。高度な衛生基準を導入することで、主に欧米などへの輸出を中心とし、国内向けの系統出荷とは競合せず、国内需要が落ち込んだ場合は牛肉の需給バランスを取ることができるとしている。また、釧根管内で育った牛の加工・製品化も視野に入れる。

 施設の敷地面積は2万5000平方㍍で町有地を借用。処理、加工施設などとともに牧場、牧草地も併設する計画だ。と畜と加工は1日最大各140頭が可能で、排出物の一部はたい肥として活用するほか、排水処理を徹底し自然水で放出、自然再生エネルギーの活用などSDGs(持続可能な開発目標)に配慮した施設とする。雇用はセンター全体で200人を予定し、2024年度の着工を目指す。

 建設を進めるに当たり、北海道和牛マスターは14日、釧路管内の漁協でつくる釧路水産用水汚濁防止対策協議会と公害防止協定を締結。4月にもエスフーズ、同社と釧路町で包括連携協定を結び、互いに協力しながら産業振興と地域経済発展を進める。

 ○…食肉加工センターについては2016年、老朽化などで北海道畜産公社根釧工場(釧路市)が閉鎖。釧根管内の農協組合長と標茶町などで組織する協議会が公設民営方式で標茶町内での整備を目指していたが、環太平洋連携協定(TPP)や日米間の自由貿易協定(FTA)、東日本大震災や東京五輪関連の建設ラッシュによる資材価格高騰、下流域の経済団体などが環境への影響に懸念を示すなどの理由で18年、計画を凍結し白紙に戻す決定を下していた。

 現在、釧根管内の牛は主にオホーツクや十勝管内の施設に持ち込まれているが、運送距離が150~250㌔と遠く、移動に伴う牛のストレスなどによる死亡リスクの高さや輸送費といったコスト高が課題となっている。同管内には乳牛30万頭、和牛生産に意欲をみせる農業者も増え、肉牛生産も増加傾向にある。同センターが開設することで地域資源の活用や酪農生産の安定、振興、発展にもつながり、新たな付加価値創出にも期待が掛かる。

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