史跡ジオラマ初公開 厚岸でチャシ跡、竪穴群特別展【厚岸】
【厚岸】町海事記念館では4月9日まで、2022年度特別展「神岩チャシ跡および竪穴群」を開いている。道指定史跡でもあるチャシ跡と竪穴群のジオラマを初公開しており、土器や漁具、猟具など貴重な出土品を間近に見ることができる。(河辺由記子)
同史跡は、厚岸湖の北岸と別寒辺牛川左岸の丘陵地に位置する約160㌶が指定されている。チャシとはアイヌ語で「とりで、館、柵囲い」の意味で、戦闘や祭(さい)祀(し)、談合、資源監視場などに使われたとみられている。
厚岸のチャシ跡は壕(ごう)がなく頂部の平坦面を段で区画する構造が多く、壕と段の両方を持つものもある。町内では現在、27カ所のチャシ跡を確認している。道内でも珍しい古文書での記述やアイヌ民族とチャシに関する伝承が残ることも特徴に挙がる。
同史跡は地形上、人の立ち入りが難しいことから町教育委員会では21年に現地調査や測量を行い、22年にジオラマを製作した。5000分の1の縮尺で、製作費は470万円。
同史跡全体とその一部である別寒辺牛川河口の「チャチャカムイのチャシ跡」同川左岸の「丸山チャシ跡」の3台を展示し、厚岸湖を見渡す高台に幾つもの竪穴住居跡が残り、一大集落だった様子が見てとれる。
会場では1965年と66、70年の同史跡調査時の写真パネルや発掘された続縄文期(1300~2300年前)の下田ノ沢式土器、狩猟に使用されたと見られる黒曜石の矢尻や金属製の手おの、釧路市立博物館所蔵で動物の骨を使った漁のための針やまな板など約100点が並ぶ。
同館の小田島賢学芸員は「厚岸湖はカキなどの海産物が豊富で、古くから多くの人が利用していた。遺物やジオラマを通じ、厚岸を取り巻く人々の暮らしを知ってほしい」と話している。観覧無料。時間は午前9時~午後5時。22日と月曜休館。
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