「拠点化」に期待、来場500人 市民会館で洋上風力フォーラム【室蘭】

洋上風力と漁業の共存共生について講演する渋谷代表取締役
「技術や知見生かして」「漁業との共存共生を」
室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)主催の「室蘭洋上風力フォーラム2023」が26日、輪西町の市民会館で開かれた。MOPA会員や洋上風力の関係者が、これまでの取り組みを講演やパネルディスカッションで発表した。来場者約500人は、室蘭の洋上風力拠点化や漁業との共存共生について考えた。
基調講演には、MOPAの上村浩貴理事長、日本風力発電協会の加藤仁代表理事、渋谷潜水工業(神奈川県平塚市)の渋谷正信代表取締役が登壇した。
渋谷代表取締役は、水中の工事・調査を行う潜水士の傍ら、海洋構造物の漁礁化や漁場藻場の調査・再生事業、千葉県などで海洋エネルギーと漁業との共生に取り組んできた。
長崎県五島市の浮体式洋上風力発電実証事業にも携わり、風車の人工漁礁については「調査の結果、予想をはるかに超える成果があった」といい、風車付近で多くの魚が取れるようになったことを映像で示した。
漁業者の信頼を得るために「一緒に調査に行き、漁礁の映像を見せるなど、絶えず見える化をして隠し事はしない」ことを心がけたという。風車の漁礁化とともに、漁業者の漁業へのモチベーションも向上し、「地域全体に活力を生むことになった」とした。
洋上風力を設置するためには「漁業や地域が豊かになり、海の環境が良くなる仕組みが必要」とし、「エネルギーのためだけでなく、海面下も含めた総合的な漁業や地域との共存共生のデザインづくりが重要になる」と助言した。
上村理事長は室蘭沖に洋上風力が必要な理由について、「発電事業拠点の開発・誘致に取り組まなければ、中長期的な洋上風力拠点化はあり得ない。漁業関係者に丁寧に説明しながら、勉強会の席についていただけるよう努力を積み重ねていきたい」と述べた。
加藤代表理事は、洋上風力発電事業の案件形成の初期段階から政府や自治体が関与し、より迅速・効率的な調査を行う「セントラル方式」の2023年度対象区域に道内3区域が選定されたことを紹介。
「北海道に対する洋上風力の注目度が一気に上がっている」とし、「室蘭は日本を支えた工業都市。その技術や知見を生かし、新しいエネルギーに取り組んでほしい」と期待していた。
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