誓い新たに世界を開く 遅れた成人を取り戻す 網走市で「22歳の集い」
【網走】人生の節目である成人式を、新型コロナウイルスの感染拡大で開催できなかった2021年に二十歳を迎えた青年の成人を祝う「網走市22歳の集い」が8日、エコーセンターで開かれた。出席した39人は、2年越しとなった大人の仲間入りを喜び合った。
21年1月は、全国的に新型コロナの感染が拡大し、首都圏では緊急事態宣言が発出されるなど、まさに国難ともいえるコロナ禍の真っ只中だった。
全国で成人式の開催を見合わせる自治体が相次ぎ、網走市を含む道内でもほとんどの市町村で成人式の開催を見送った。
網走市はその後、同年8月に成人式の開催を計画したが、その開催時期も新型コロナの感染が急拡大。2度目の成人式の開催も流れてしまい、同年の二十歳は「晴れの舞台」を失った成人となってしまった。
多くの若者の夢や希望、楽しみを奪ったコロナ禍だが、ウィズコロナを迎えた昨年12月、水谷市長へ一通の「市長への手紙」(メール)が届いた。
その内容は「子どもから大人に変わる大事な節目を迎えられず、自分が成人したという実感を持てない。他の自治体の成人式開催のニュースを見るたびに『網走ではもうできないのだ』とため息をつく」と切実な思いが綴られていた。
その上で「小学校から中学校まで共に学んできた、今は疎遠な同級生に、せめて最後のあいさつがしたいと思っていた。改めて、令和3年成人式の開催を強く要望します」との願いが書かれていた。
手紙の中には「とはいえ、このように考えているのは案外、僕だけかもしれず、成人式の中止をどう受け止めているのか、新成人の声を聞いてほしいのです」とあった。 受け取った水谷市長は「手紙を書いた青年の願い」「当時の成人の思い」「ウィズコロナの今の社会情勢」など、さまざまな事柄に思いを巡らせ、当時の成人へのアンケートを実施した。
2年前に成人式を開けなかった網走の新成人(対象者)は、00年4月2日から01年4月1日生まれの410人。 アンケートの結果、「一生に一度の成人式が行えなかったことが心残り」「思い出を友人と共有したい」など、成人式の開催を望む声が寄せられた。
友人、仲間の願いをかなえようと〝地元就職組〟の杉山絢星さんら7人の22歳が「22歳の集い実行委員会」を立ち上げ、集いの開催にこぎつけた。
市役所は対象者への案内文送付や会場手配などのサポート役となり、運営は実行委がすべてを行った。
当日は男性22人、女性17人の39人が参加。仕事や進学先の都合で参加できなかった学友も多かったという。
式典で水谷市長は、米の起業家スティーブ・ジョブズさんの言葉を引用し「なによりも自分の心と直観に従う勇気を持つこと。あなたの心や直感は、自分が本当は何をしたいのか知っているはず」との言葉を贈り「前途洋々たる今日の日を祝福する」と語った。
岩崎友哉さんは22歳を代表して「コロナが流行し、成人式が延期、中止となったが、22歳の集いという形で式が開催された。都合が合わず来ることができなかった人も多くいるが、同級生が集まれたことは本当に喜ばしい」と語った。
その上で「22年間で多くの人に会い、たくさんお世話になってきた。親からは愛情、友人からは思いやりの心など、さまざまな経験を通し、学び、自分たちは磨かれてきた。先生や地域、友人、家族からのおかげ。磨かれた分、より多くの人に還元して、精一杯生きていきたい」と誓いの言葉を述べた。
その後、参加者全員で心新たに記念撮影を行い、2年前に実現できなかった成人式への思い、旧友との再会を喜び合っていた。
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