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函館新聞

ウガンダでの縫製技術教育に成果 函館アフリカ支援協会、生理の貧困解消に挑戦【函館】

函館から送ったミシンから始まったウガンダでの縫製技術教育支援活動を紹介する石田副理事長(左)とバゲンダ理事。制服を着用した生徒たちは裸足の子も多く、貧困解消にさらなる支援の継続を訴える

 NPO法人函館アフリカ支援協会(HASA、中川俊男理事長)は2018年から5カ年計画で取り組むウガンダの貧困地域にあるカパリス小学校での縫製技術教育が最終年度を迎えた。市民から集めた足踏み式ミシンが有効に活用され、生徒が自らの体型に合わせた制服を縫製できる技術を習得。卒業後もミシンを活用できる道筋も整えた。来年度からは女子生徒の生理の貧困問題克服に力を注ぐ考えで、新たな3カ年計画の準備を進め、支援を継続する。

 HASAは、公立はこだて未来大学准教授のドミニク・バゲンダ理事(50)=在日ウガンダ人の会会長=を通じ、同国での教育支援活動を実施。経済的自立につなげることができる縫製技術教育を進めようと、18年春に函館・近郊を中心に呼び掛けて、市民から想定を超えた300台以上の足踏み式ミシンと編み機が集まり、継続性を持たせた活動を展開するため5カ年計画を始めた。

 同国の小学校は7年制。同校での縫製技術教育は、高学年を対象に放課後に実施し、布や糸といった消耗品の購入費、現地の講師料などを資金面で支援してきた。新型コロナウイルスの世界的流行で活動が困難な時期があったが、今年3月には女子、6月には男子の制服が完成。制服の着用は誘拐といった事件に巻き込まれるリスクを減らすことにも有効といい、他校への販売といったビジネスの可能性も広がった。

 こうした技術教育の評判が広がり、生徒数が急増し、520人もの大きな学校になった。校庭内で卒業後もミシンを使用できる施設を準備中で、管理者には卒業生で技術や意欲が高い青年オデッケ・トマスさん(18)を採用予定。身につけた技術を収入へとつなげる環境を整える。

 一方、縫製教育を進める中で、生理が始まると学校を一定期間休む生徒が多いことが分かり、繰り返し利用できる布ナプキンの普及にも力を入れる。来年度以降の3カ年計画の軸としたい考えだ。石田耕造副理事長(76)は「自分で使う必要な布ナプキンを用意できるよう、5年生以上の子を対象に縫製技術を身につけるクラブ活動として進めたい」と話す。

 生理の問題は人口問題にも直結する。新型コロナの流行当初、同国ではロックダウン(都市封鎖)の措置が取られ、学校も休校となったことで、若年者の妊娠が急増。同小でも望まない妊娠によって学校を辞めた女子生徒がいた。生理周期を色別のビーズで表し、自己管理ができる「サイクルビーズ」の普及にもつなげたい考えだが、女性の生理や性の問題に言及することがタブー視され、男女ともに妊娠の仕組みを理解できていないことも要因で、文化的な忌避感を乗り越えることも課題だ。

 1~2月に一時帰国し、現地との調整を進めるバゲンダ理事は「(ミシンがあればと)当初、考えていたことは単純すぎていろいろなことが見えていなかった。空腹ではミシンも踏めない。給食があることが学校に通う理由にもなるので、豆のスープを提供することにも挑戦したい」と話している。

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