酪農家の道へ着々 函館出身の金曽さん【函館】
函館の非農家出身で、酪農家を目指す女子大生がいる。帯広畜産大畜産科学課程2年の金曽桃香さん(20)。「将来は酪農家になって、道南の生乳生産に貢献したい」と夢を描いている。
金曽さんはサラリーマン家庭に育ち、函館中部高校を経て帯畜大に進学。高1の冬に赤坂町で酪農を営む金子新市さん(56)の牧場を見学した際に「ビビっときた」と運命を感じ、畜産を学べる大学への進学を決意。現在は帯畜大で家畜生産科学を専攻し、牛に関する学びを深めている。
毎日、乳牛の搾乳を学生だけで行う「うしぶ。」(部員26人)に所属し、大学の非常勤職員として雇用され、給料をもらって搾乳を担っている。朝4時45分から作業が始まり、搾乳を終え講義に出る。夕方も講義終了後、牛舎で搾乳する。「大学で飼育する乳牛は哺乳のときから学生が世話をしているので、人懐っこい」と金曽さん。
長期休みには、宗谷管内猿払村、八雲町、十勝管内広尾町などで実習に励んだほか、昨年9月1日~10月9日には、自前のロードバイクで道内一周の旅を行い、各地の酪農家を手伝いながら泊めてもらった。今年3月には、ロードバイクで四国を巡る計画で、金曽さんは「土地や気候の条件に適応した山地酪農を学びたい」と意欲を見せる。
卒業後は、アルプス山脈の冷涼な気候を生かした酪農が盛んなスイスへ研修に行きたいという。
金曽さんは「牛好きで、酪農家の生活スタイルも自分に合っている。自給自足の生活に憧れがあり、自然と共に生きる人生は魅力的だと思う」と話す。両親も酪農の仕事を手伝うと言ってくれるほど協力的で、金曽さんは「道南で酪農家になり、函館牛乳に出荷したい」と力を込める。
金子さんによると、現在函館の酪農家は4戸で、函館牛乳は高齢化、後継者不足などで廃業する人もおり、出荷乳量が減っている。「最初は半信半疑だったが、金曽さんの人間性と行動力を見て、頼もしい〝酪農女子〟が函館に帰ってくる」と期待を込める。
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