【えりも】津波発生時などの避難道整備に向けて、えりも町と様似町、両町の経済団体、自治会などで構成する「国道３３６号の内陸避難道路早期建設期成会」が11日、えりも町福祉センター大会議室で開かれた設立総会で発足した。内陸道路の早期建設に向けた活動事業案や役員などを決め、国や道への積極的な要望などを進めていくことを申し合わせた。

　えりも町から様似町幌満地区までの地域は、様似町、広尾町両方向の海岸線を走る国道３３６号が唯一の単線交通網となっており、災害が発生した際に国道が被災すると陸路での通行が途絶する。政府による、日本海溝・千島海溝沿いを想定した巨大地震に備えた防災・減災対策を特に進める特別強化地域に、道内では、えりも町、様似町を含む39市町が指定されている。

　今回設立した期成会では、災害などで国道の通行ができない状況となったときに、様似町および広尾町に通じる内陸側の道路の早期整備を目的に、①内陸避難道路の建設促進②内陸避難道路建設のための資料収集並びに基本的事項の検討と協議③その他、目的達成に必要な事項―などの事業に取り組んでいく。

　設立総会には、えりも町、様似町、両町議会、経済団体、自治会などから21人が出席した。

　はじめに大西正紀えりも町長があいさつ。「地域の生活道路である国道が、万が一、大きな津波被害を受けたとなると、開通までの復旧期間は、相当な日数がかかる。えりも町の住民だけではなく、様似町旭地区、幌満地区での被害の影響は大きなものとなる。また、日高山脈が国立公園化となった後には、国内外から多くの観光客も訪れ、ひとたび、津波が押し寄せると、その被害は甚大なものと予想される」と現状説明したうえで、「内陸道の整備は簡単な事業ではないが、国や道などに前向きに検討してもらえるよう、様似、えりもの２町で積極的に要望していきたい」と述べた。

　荒木輝明町長は「様似、えりもは、千島海溝・日本海溝における大地震、大津波が予想され、さらには大雨などによる通行止めが頻繁に発生している地域。両町の住民とって、安心安全な〝道〟の確保が求められている。期成会の設立を通じ、各種取り組みに尽力していきたい。皆さんのご協力を得ながら進めていきたい」と協力を呼び掛けた。

　議事では、会の名称と事務局をえりも町に設置すること、目的や構成、財務など発足にあたっての規約などを決めたほか、今年度の事業計画については、「国道３３６号の内陸避難道路早期建設を国、北海道に対して要望すること」として、年度途中の発足であっても早急に対応していくことを確認した。

　役員選任では、会長に大西えりも町長、副会長に荒木様似町長、大坂庄吉えりも町商工会長が決まった。

　役員は次の通り。

　▽会長＝大西正紀（えりも町長）

　▽副会長＝荒木輝明（様似町長）、大坂庄吉（えりも町商工会長）

　▽理事＝石川昭彦（えりも町議会議長）、工藤仁（様似町議会議長）、村上裕一（近浦自治会長）、杉本和史（旭自治会長）

　▽監事＝坂本好則（えりも漁協組合長）、小野哲弘（ひだか南森林組合長）

設立総会であいさつする大西えりも町長