来春にサテライトオフィスとして生まれ変わる旧加藤家住宅（提供）

　函館市西部地区再整備事業を担う第三セクター「はこだて西部まちづくＲｅ―Ｄｅｓｉｇｎ」（ＨＷｅＲ）は、旧加藤家住宅（大町）の改修を進めている。東京の企業がサテライトオフィスとして来春から利用するための準備。趣ある外観はそのままに、耐震補強や間取りの変更などを行い、利便性を整え空き家の解消につなげる。

　同社による建物の再生は、今年８月に地元飲食店が入居した旧北海道庁函館支庁庁舎に次いで２例目。

　同住宅は現在空き家で、所有者からＨＷｅＲに相談があり、活用法を模索する中で、市を介し東京の企業との縁もあり、サテライトオフィスとして生まれ変わることが決まった。

　設計を担当する建築企画山内事務所（本通）によると、同住宅は１９１３（大正２）年建築の木造２階建て、延べ床面積は２４９平方メートル。和洋折衷様式が特徴で、当初は海産物商が使っていたとみられる。その後、所有者も代わり、２０１８年までは住宅として利用されていた。

　ＨＷｅＲが建物を借り受け、オフィスとしての利便性を高めた間取りに内装を変える。また、耐震補強や断熱改修も同時に行うが、外観はほぼ変えない。補修工事の一部に市の景観形成住宅等建築奨励金制度を活用する。工事は１０月に始まっており、来年３月中の完成を目指す。

　東京の企業は社員の現地採用なども検討しているといい、ＨＷｅＲの北山拓社長は「建物の利活用だけでなく、市の活性化にも寄与する事業として期待がかかる。地方進出を考える企業も増えている。ニーズを把握しながら西部地区の活性化にもつなげたい」と意気込む。