函館財務事務所（五十嵐俊樹所長）は２９日、４～６月期の渡島・桧山地域の経済動向をまとめた「道南経済レポート」を発表した。新型コロナウイルスの影響が続く中、３月末でのまん延防止等重点措置解除により、個人消費、観光で緩やかな持ち直しの動きがみられるとして、２期ぶりに総括判断を引き上げた。

　観光も２期ぶりに判断を上方修正。まん延防止解除で行動制限が緩和されたことに加え、はこだて割（５月末まで）やどうみん割といった観光需要喚起策が奏功し、４～６月期の函館圏の入込客数は前年同期比２・１倍の３４万人。主要１８施設の宿泊者数は同２・１倍、主要３カ所の観光施設の利用者数は同３・０倍。コロナ前との比較では入込客数は１９年同期の６割まで回復している。五十嵐所長は「ヒアリングベースではホテル利用も７～８割まで戻ってきている。７月下旬からコロナ感染者数は多い傾向にあるものの持ち直しの動きは順調に推移している」とする。

　７期ぶりの上方修正となった個人消費は、まん延防止解除による外出機会の増加で衣料品、身の回り品が好調で、大型小売店５社の売上高は同６・６倍の６６億６６００万円。食料品スーパーでは巣ごもり需要の一巡、ホームセンターでは価格高騰の影響で食料品以外の生活必需品で節約志向が見られ、いずれも前年同期の売上高を下回った。五十嵐所長は「秋以降、商品値上げの動きが広がり、上向きの消費マインドに影響を及ぼすことが懸念されるため、注意深く見ていきたい」としている。