大阪で函館のコンブを発信 ミュージアム開業 漁具など展示【函館】
大阪の老舗コンブ店「こんぶ土居」(土居純一店主)は、同店近くに大阪食文化の根幹を支えるコンブの歴史や価値を発信する資料館「大阪昆布ミュージアム」をオープンした。大阪初の施設で、北海道のコンブ漁業に使う漁具や作業風景の写真展示、コンブの熟成庫、キッチンを備えたコンブの学習スペースなどを整えた。大阪の食文化を育んだ、函館を含む道産コンブを次代に伝える拠点を目指す。
函館産マコンブなど道産コンブは、江戸後期に北前船で大阪に運ばれ「昆布ロード」を形成した。大阪のコンブ文化の華のだしはもちろん、塩コンブ(つくだ煮)、とろろコンブも大阪名物として普及した。
しかし、海水温の上昇に伴いコンブが育ちにくい環境に。漁業者の高齢化を背景に乾燥作業にかかる人手も不足している。家庭ではだしを取る機会が少なくなり、コンブは生産、消費の両面で状況が激変した。
土居さん(48)は「大阪でのコンブ文化が衰退してしまう」と危機感を募らせ、店から60メートル離れたコンブ倉庫として利用していた2階建ての施設を、4階建てのビルに新築した。昨年11月に着工し、今年5月に完成した。
延べ床面積は120平方メートル。1階は海中のコンブをねじり取る漁具「マッカ」や、水中をのぞく「箱メガネ」の実物展示やパネルでの説明、産地の写真20点以上を展示しているほか、床には天日干しする長さ4メートルのコンブを埋め込んでおり、臨場感がある。
2階は熟成庫で公開はしておらず、3階は半分が熟成庫で、残り半分は大阪に定着したコンブ文化、歴史をパネルや写真で紹介。4階はキッチンを備え料理教室などを開くほか、書籍を置いてコンブ学習を深める場とした。
土居さんは2004年から毎年函館を訪れ、マコンブ漁の手伝いや、小学校で子どもたちにコンブの魅力を伝えている。「コンブは『奇跡の海藻』と呼ばれ、世界から注目を浴びている。北海道のコンブが大阪の豊かな食文化を育んだことを大阪人が再認識するとともに、産地の人が価値を知る施設としたい」と話す。
11月には、修学旅行の一環で南茅部高校の生徒が施設を訪れる予定。一般市民も入館でき、開館日や時間の確認が必要。問い合わせは同店(06・6761・3914)へ。
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