【平取】アイヌ民族伝統の舟おろしの儀式「第53回チプサンケ」が21日、二風谷ダム近くの沙流川左岸に設けた舟おろし場で行われた。

　文化の伝承を目的にびらとりアイヌ協会などで作る実行委員会の主催。

　チプサンケは、１９６５年代（昭和40年代）から継続的に二風谷で行われている舟に新たな命を与える入魂の儀式。舟材を授けてくれた山の神へ感謝の気持ちを伝え、新たな舟ができたことを川の神へ報告する。船頭たちがワッカウシカムイ（水の神）へ祈りを捧げた後乗船。

　コロナ禍で、２年間は参集地域を限って行われてきたが、今年度は以前の形に戻し一般参加できるようになり、町内外から約１５０人の観光客が参加した。

　この日は、気温も高く晴天に恵まれ、午前中は「縁結び石祭り」「カムイノミ」「古式舞踊見学」などを行った。

　救命胴着とヘルメットを着用した乗船希望者は、木彫りの丸木舟（チプ）に順次乗り込み、約８００㍍の川を下るのどかな舟旅を楽しんだ。

　札幌大学ウレシパクラブの今井とわさんは「とても楽しかった。３回くらい舟から落ちてしまったがまた乗りたい気分。縁結び石祭りや古式舞踊なども見学でき、初めての体験で良い１日となった」と話した。

チプサンケで川下りを楽しむ参加者