キャンペーン中に登山客らに配布するチラシを手に注意を呼び掛ける山口さん

　多彩な植物が自生する函館山（３３４メートル）では、今年度も草花が荒らされる被害が相次いでいる。２８日現在で、根から掘り起こす「盗掘」が２種２株、茎を引きちぎったり鋭利な刃物で切り落とす「切取」は７種２６株の被害を確認した。函館市住宅都市施設公社公園管理部西部公園事務所によると、「現状は一向に減っていない」と困惑する。２日からは、登山客らへの啓発として撲滅キャンペーンを展開し、被害防止や情報提供などを呼び掛ける。

　１０を超える登山コースがある函館山では、ランやユリなど希少種などを含む多くの草花が来訪者の目を楽しませる。山中で植物の採取が禁止されているが、盗掘・切取被害はここ数年で多発。切取は特に深刻で、昨年度はある一帯で植物が切り取られ、正確な被害株数が把握できない状態もあったという。

　事務所職員や函館山自然観察ボランティアが定期的に巡回し、被害状況を記録する。現状を多くの人に知ってもらおうと、２０年度からは被害が多発するこの時季に啓発のぼりを立てたり、チラシを配布する撲滅キャンペーンを展開する。

　２～８日に道教育大函館校の学生らの応援も受け、被害防止と情報提供を呼び掛ける。草花を愛でたり写真を撮る際には周囲の土を踏み固めないように、登山道からはみ出さないよう注意を喚起する。

　同事務所の山口涼子さんは「山中での植物への切取、盗掘などをすることは違法行為。登山者の楽しみも奪う行為で許されるものではない。１件でも減るように活動していきたい」と話す。

　被害を確認した場合は同事務所（０１３８・２２・６７８９）への連絡を呼び掛けている。