「朗読サプリ」プロジェクトを立ち上げた犬童さん（左）と安澤さん

　函館でフリーアナウンサーとして活動する犬童いづみさんと安澤智子さんの２人が、新たな朗読会「お仕事帰りの朗読サプリ」を立ち上げた。文芸作品の世界で夜のひとときを楽しんでもらう催し。２７日に旧カフェレストアクシス（五稜郭町、ホーム企画ビル１階）で開かれた初回には３５人が来場し、家族や友人を思う２作品を楽しんだ。

　犬童さんと安澤さんはそれぞれ、朗読ボランティア団体の読み語りの会「花音」の代表、副代表を務める。作品の朗読を聞きながらほっとする時間を過ごしたり、普段抑えている感情を解き放ってもらう〝効能〟を期待して「朗読サプリ」と名付けた。

　イベントは奇数月の第４金曜日午後７時開会を基本に計画。ホーム企画が管理する旧アクシスのカフェは閉店したが、グランドピアノを備え、いすやテーブルも利用できる貸しイベントスペースとして提供し、４月以降、演奏会でも使われている。

　初回は口コミで満席となり、犬童さんは「心の重荷を『よっこいしょ』と置いてゆったりしてもらえたら」とあいさつ。「お家カフェあん」（七飯町大川２）による花茶が振る舞われた。

　作品は犬童さんが重松清著「拝復、ポンカンにて」（文春文庫「季節風・春」より）、安澤さんが上間陽子著「美味（おい）しいごはん」（筑摩書房「海をあげる」より）。前者は大学進学での上京を控え、実家で過ごす最後の一日を描いた家族の物語。後者はつらいときに支えになってくれた友人への思いを込めたエッセーで、来場者は柔らかな語り口でつづられる作品の世界に聞き入っていた。