雑海藻を餌とした肥育に挑戦【釧路町、標茶】
【釧路町、標茶】釧路町昆布森産コンブを餌に肥育した標茶産肉牛のブランド化や商品開発を進める釧路町と標茶町は今年度、雑海藻を餌とした肥育に挑戦する。両町は昨年、互いの特産品を生かした商品開発や地域振興、環境への影響などに関する調査研究を目的に、広域連携ブランド化推進に関する協定を締結。未利用資源の活用は、農漁業や環境の課題解決にもつながると期待を寄せている。 両町は昨年、コンブを餌に混ぜた肉牛4頭を肥育。今回は、ホンダワラ科のウガノモクを中心とした海藻を餌として与える。ホンダワラ科にはヒジキやアカモクなど一部食用種もあり、ニシンやハタハタなどの産卵場にもなっている。一方で漁業者の間ではゴモと呼ばれ、船着き場周辺に繁茂すると船の出入りに支障を来したり、船外機のプロペラに絡みつき操縦不能になることもある``厄介もの、、として深刻な問題になっている。
このうち、老者舞(おしゃまっぷ)漁港では18日、昆布森漁協所属の漁業者と両町職員ら関係者が、港内一帯にじゅうたんのように広がる雑海藻3㌧を回収した。同漁港では昨年から、漁業者らが本格的に雑海藻駆除を実施。コンブ漁を手掛ける鎌田大雄さん(52)は「来月からコンブ漁も始まるので、この時期に駆除するが年々繁殖が増え、作業は大変」と話す。
回収した雑海藻は19日から、標茶町磯分内の町有施設に運び、乾燥作業を行っている。20日は、標茶高校畜産ゼミ選択の3年生5人が作業に参加し、両町職員らとともに海藻を約1100平方㍍の敷地に広げて天日干しした。
同校は昨年度の3年生が乳牛にコンブを与え、乳量や乳質を調査し成果を両町に発表。今年度は、飼料開発をテーマに牛の食い付きや乳質、乳量について調べるほか、特産品開発でも両町と連携する計画だ。ゼミ班長の眞野晴輝さん(18)は「近年は飼料価格が高騰している。廃棄されるものが餌として利用できればコスト減になり、地域資源の活用はまちの活性化にもつなげられる」と声を弾ませる。
両町は今年度、同事業に500万円を計上。雑海藻の活用は、コンブ漁場環境の改善や肉質への効果、海外で一部の海藻成分に牛のメタンガス(げっぷ)抑制に効果があるとの研究成果が発表されたことから、温室効果ガス削減などへの効果も検証する。